【日语共读】银河铁道之夜(9)D


《银河铁道之夜》是日本作家宫泽贤治创作的童话叙述一个贫苦而孤独的少年在梦中和好友乘坐火车畅游银河的故事。

作者以其神妙之笔建构了一个繁华似锦的银河世界,美不胜收的景致下又隐含了一个悲哀孤独的情感世界。





         

ジョバンニ切符D


 第九章  乔班尼的车票(D)

 


 

ごとごとごとごと汽車はきらびやかな燐光りんこうの川の岸を進みました。向うの方の窓を見ると、野原はまるで幻燈げんとうのようでした。百も千もの大小だいしょうさまざまの三角標、その大きなものの上には赤い点点をうった測量旗そくりょうきも見え、野原のはてはそれらがいちめん、たくさんたくさん集ってぼおっと青白い霧のよう、そこからかまたはもっと向うからかときどきさまざまの形のぼんやりした狼煙のろしのようなものが、かわるがわるきれいな桔梗ききょういろのそらにうちあげられるのでした。じつにそのすきとおった奇麗きれいな風は、ばらの匂においでいっぱいでした。


列车咣当咣当行驶在光辉夺目的磷光岸边,对面车窗外,如同放映着的幻灯片,成百上千的大小三角标,大三角标上还亮着红点的测量旗。原野一望无际,聚集了很多很多苍白的薄雾。不知是那里,还是更远的地方,不时有各种各样的迷离烽火般的东西,袅袅升向黛蓝色的天空。那明丽的清风,挟带着玫瑰的郁香。 


「いかがですか。こういう苹果りんごはおはじめてでしょう。」向うの席の燈台看守がいつか黄金きんと紅べにでうつくしくいろどられた大きな苹果を落さないように両手で膝ひざの上にかかえていました。

 

「おや、どっから来たのですか。立派ですねえ。ここらではこんな苹果ができるのですか。」青年はほんとうにびっくりしたらしく燈台看守の両手にかかえられた一もりの苹果を眼を細くしたり首をまげたりしながらわれを忘れてながめていました。

 

「いや、まあおとり下さい。どうか、まあおとり下さい。」

 

 青年は一つとってジョバンニたちの方をちょっと見ました。


    “怎么样?这种苹果您还是头一回见到吧?”坐在对面的灯塔看守,双手捧着金黄色和红色光泽的大苹果,并用腿接着,唯恐苹果掉落。


    “呀,从哪儿弄来的?真漂亮!这里出产这么漂亮的苹果呀?”青年又惊又喜。他眯着眼,侧着头,贪婪地端详灯塔看守手里捧着的那些苹果。


    “喂,请拿着吧,接着!”


    青年拿了一个,望了望乔班尼他们。 


「さあ、向うの坊ぼっちゃんがた。いかがですか。おとり下さい。」

 

 ジョバンニは坊ちゃんといわれたのですこししゃくにさわってだまっていましたがカムパネルラは「ありがとう、」と云いました。すると青年は自分でとって一つずつ二人に送ってよこしましたのでジョバンニも立ってありがとうと云いました。

 

 燈台看守はやっと両腕りょううでがあいたのでこんどは自分で一つずつ睡っている姉弟の膝にそっと置きました。

 

「どうもありがとう。どこでできるのですか。こんな立派な苹果は。」

 

 青年はつくづく見ながら云いました。


    “哎,那边两位小少爷,拿一个吧。”


    乔班尼一听被叫作“小少爷”,火气一下子上来了,但没出声儿。康贝内拉却说声:“谢谢!”


    于是青年亲手拿了两个给他们俩一人一个。乔班尼无奈,起身道谢。


    灯塔看守总算腾出双手,他把最后两个苹果轻轻放在熟睡的姐弟膝盖上。


    “太感谢了。是从哪儿摘来的?这么漂亮的苹果!”青年仔细地看着苹果。 


「この辺ではもちろん農業はいたしますけれども大ていひとりでにいいものができるような約束になって居おります。農業だってそんなに骨ほねは折れはしません。たいてい自分の望む種子たねさえ播まけばひとりでにどんどんできます。米だってパシフィック辺のように殻からもないし十倍も大きくて匂もいいのです。けれどもあなたがたのいらっしゃる方なら農業はもうありません。苹果だってお菓子だってかすが少しもありませんからみんなそのひとそのひとによってちがったわずかのいいかおりになって毛あなからちらけてしまうのです。」


     “这一带当然也有很多人从事农业生产,但多半是自然而然结出丰硕果实的。农民也并不怎么吃苦费力。基本上是只要撒下自己喜欢的种子,就会自然丰收。稻米也不同于太平洋地区,没有稻壳。米粒足足比普通的大十倍,到处稻谷飘香。可你们去的地方,已经没有农业。无论是苹果,还是点心,连糟粕都不剩,全部蒸发。香味儿也全部由毛孔扩散出去。


 にわかに男の子がぱっちり眼をあいて云いました。

 

「ああぼくいまお母さんの夢をみていたよ。お母さんがね立派な戸棚とだなや本のあるとこに居てね、ぼくの方を見て手をだしてにこにこにこにこわらったよ。ぼくおっかさん。りんごをひろってきてあげましょうか云ったら眼がさめちゃった。ああここさっきの汽車のなかだねえ。」


    男孩子突然睁圆双眼,说话了:“刚才我做了一个梦,梦见妈妈了。她在一个有漂亮柜橱和很多书的地方,笑眯眯地向我伸出双手。我喊着,‘妈妈,我给您拾一个苹果吧!’就醒了。啊,这是在刚才的火车里吗?”










「その苹果がそこにあります。このおじさんにいただいたのですよ。」青年が云いました。

 

「ありがとうおじさん。おや、かおるねえさんまだねてるねえ、ぼくおこしてやろう。ねえさん。ごらん、りんごをもらったよ。おきてごらん。」

 

 姉はわらって眼をさましまぶしそうに両手を眼にあててそれから苹果を見ました。男の子はまるでパイを喰たべるようにもうそれを喰べていました、また折角せっかく剥むいたそのきれいな皮も、くるくるコルク抜ぬきのような形になって床ゆかへ落ちるまでの間にはすうっと、灰いろに光って蒸発してしまうのでした。

 

   “苹果在这儿,是这位伯伯给的。”青年说。

    “谢谢伯伯。阿香姐姐还在睡,我来叫醒她。姐姐,你看,人家送我们苹果了。快醒来吧!”

    姐姐甜笑着睁开眼。阳光刺眼,只见她双手遮着光线,看了看苹果。

    男孩子简直像吃苹果饼一样啃着苹果。那削得整齐好看的苹果皮,形成软木塞起子似的螺旋形,垂到地板上,但倏忽间变成一团灰光蒸发掉了。


 二人はりんごを大切にポケットにしまいました。

 

川下かわしもの向う岸に青く茂しげった大きな林が見え、その枝えだには熟してまっ赤に光る円い実がいっぱい、その林のまん中に高い高い三角標が立って、森の中からはオーケストラベル(注:铁片琴)やジロフォン(注:木琴)にまじって何とも云えずきれいな音いろが、とけるように浸しみるように風につれて流れて来るのでした。

 

 青年はぞくっとしてからだをふるうようにしました。

 

    乔班尼他们俩把苹果藏进衣袋。

    河下游对岸,有一片郁郁葱葱的树林,树枝上结满红彤彤的圆果。树林正中央竖着一个高高的三角标。树林深处不时传来阵阵悦耳的乐声。那是一首交响乐和木琴的协奏曲,美妙的乐曲随风传来,令人陶醉。

    青年不禁浑身发抖。


 だまってその譜ふを聞いていると、そこらにいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な蝋ろうのような露つゆが太陽の面を擦かすめて行くように思われました。

 

「まあ、あの烏からす。」カムパネルラのとなりのかおると呼ばれた女の子が叫びました。

 

「からすでない。みんなかささぎ(注:杜鹃鸟)だ。」カムパネルラがまた何気なく叱しかるように叫びましたので、ジョバンニはまた思わず笑い、女の子はきまり悪そうにしました。まったく河原かわらの青じろいあかりの上に、黒い鳥がたくさんたくさんいっぱいに列になってとまってじっと川の微光びこうを受けているのでした。

 

「かささぎですねえ、頭のうしろのとこに毛がぴんと延びてますから。」青年はとりなすように云いました。

 

    侧耳静听,那声音就像一片草绿色的田野或地毯在铺展,亦如洁白如蜡的露水从太阳表面擦过。

    “看呀,那乌鸦!”康贝内拉旁边叫阿香的小女孩喊道。

    “那不是乌鸦,是喜鹊。”见康贝内拉一本正经的样子,乔班尼不禁笑出来。小女孩不好意思地低下头。果然,在河滩银白色的光炎上,成群结队的黑鸟一动不动地沐浴在河流的微光之中。

    “是喜鹊!头后面的羽毛直立着。”青年像是在仲裁。


 向うの青い森の中の三角標はすっかり汽車の正面に来ました。そのとき汽車のずうっとうしろの方からあの聞きなれた〔約二字分空白〕番の讃美歌さんびかのふしが聞えてきました。よほどの人数で合唱しているらしいのでした。青年はさっと顔いろが青ざめ、たって一ぺんそっちへ行きそうにしましたが思いかえしてまた座りました。かおる子はハンケチを顔にあててしまいました。ジョバンニまで何だか鼻が変になりました。けれどもいつともなく誰ともなくその歌は歌い出されだんだんはっきり強くなりました。思わずジョバンニもカムパネルラも一緒にうたい出したのです。

 

 そして青い橄欖かんらんの森が見えない天の川の向うにさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまいそこから流れて来るあやしい楽器の音ももう汽車のひびきや風の音にすり耗へらされてずうっとかすかになりました。


    刚才还在对面的那片绿林中的三角标,已来到车窗近前。此时,从火车后方遥远的地方又传来三○六号赞美歌那熟悉的旋律。是众人齐唱。青年脸一下子变得刷白,站起身想到那边去,可想了想又转身坐下了。阿香用手帕捂住脸。连乔班尼也感到鼻子有点不对味儿。不知不觉之间,有人带头唱起了那支歌。歌声越来越响,最后乔班尼和康贝内拉也加入合唱。

    片刻,绿色的橄榄树林,在远去的银河对面倏然闪烁,然后渐渐消失。从那里漂来的奇特乐曲声,也被火车的轰鸣和呼啸的风声淹没,只剩下一点微弱的声响。



主播 | Sen

小编 | reno

责编 | 日语之声

注:本节目仅用于分享和学习交流,不得转用和商用,内容版权归原作者所有。若有侵权,请在作品下方留言,我们会尽快删除。



©著作权归作者所有,转载或内容合作请联系作者
  • 序言:七十年代末,一起剥皮案震惊了整个滨河市,随后出现的几起案子,更是在滨河造成了极大的恐慌,老刑警刘岩,带你破解...
    沈念sama阅读 213,099评论 6 492
  • 序言:滨河连续发生了三起死亡事件,死亡现场离奇诡异,居然都是意外死亡,警方通过查阅死者的电脑和手机,发现死者居然都...
    沈念sama阅读 90,828评论 3 387
  • 文/潘晓璐 我一进店门,熙熙楼的掌柜王于贵愁眉苦脸地迎上来,“玉大人,你说我怎么就摊上这事。” “怎么了?”我有些...
    开封第一讲书人阅读 158,540评论 0 348
  • 文/不坏的土叔 我叫张陵,是天一观的道长。 经常有香客问我,道长,这世上最难降的妖魔是什么? 我笑而不...
    开封第一讲书人阅读 56,848评论 1 285
  • 正文 为了忘掉前任,我火速办了婚礼,结果婚礼上,老公的妹妹穿的比我还像新娘。我一直安慰自己,他们只是感情好,可当我...
    茶点故事阅读 65,971评论 6 385
  • 文/花漫 我一把揭开白布。 她就那样静静地躺着,像睡着了一般。 火红的嫁衣衬着肌肤如雪。 梳的纹丝不乱的头发上,一...
    开封第一讲书人阅读 50,132评论 1 291
  • 那天,我揣着相机与录音,去河边找鬼。 笑死,一个胖子当着我的面吹牛,可吹牛的内容都是我干的。 我是一名探鬼主播,决...
    沈念sama阅读 39,193评论 3 412
  • 文/苍兰香墨 我猛地睁开眼,长吁一口气:“原来是场噩梦啊……” “哼!你这毒妇竟也来了?” 一声冷哼从身侧响起,我...
    开封第一讲书人阅读 37,934评论 0 268
  • 序言:老挝万荣一对情侣失踪,失踪者是张志新(化名)和其女友刘颖,没想到半个月后,有当地人在树林里发现了一具尸体,经...
    沈念sama阅读 44,376评论 1 303
  • 正文 独居荒郊野岭守林人离奇死亡,尸身上长有42处带血的脓包…… 初始之章·张勋 以下内容为张勋视角 年9月15日...
    茶点故事阅读 36,687评论 2 327
  • 正文 我和宋清朗相恋三年,在试婚纱的时候发现自己被绿了。 大学时的朋友给我发了我未婚夫和他白月光在一起吃饭的照片。...
    茶点故事阅读 38,846评论 1 341
  • 序言:一个原本活蹦乱跳的男人离奇死亡,死状恐怖,灵堂内的尸体忽然破棺而出,到底是诈尸还是另有隐情,我是刑警宁泽,带...
    沈念sama阅读 34,537评论 4 335
  • 正文 年R本政府宣布,位于F岛的核电站,受9级特大地震影响,放射性物质发生泄漏。R本人自食恶果不足惜,却给世界环境...
    茶点故事阅读 40,175评论 3 317
  • 文/蒙蒙 一、第九天 我趴在偏房一处隐蔽的房顶上张望。 院中可真热闹,春花似锦、人声如沸。这庄子的主人今日做“春日...
    开封第一讲书人阅读 30,887评论 0 21
  • 文/苍兰香墨 我抬头看了看天上的太阳。三九已至,却和暖如春,着一层夹袄步出监牢的瞬间,已是汗流浃背。 一阵脚步声响...
    开封第一讲书人阅读 32,134评论 1 267
  • 我被黑心中介骗来泰国打工, 没想到刚下飞机就差点儿被人妖公主榨干…… 1. 我叫王不留,地道东北人。 一个月前我还...
    沈念sama阅读 46,674评论 2 362
  • 正文 我出身青楼,却偏偏与公主长得像,于是被迫代替她去往敌国和亲。 传闻我的和亲对象是个残疾皇子,可洞房花烛夜当晚...
    茶点故事阅读 43,741评论 2 351

推荐阅读更多精彩内容