【日语共读】蟹工船(24)

皆さん、こんばんは。

这里是日语之声

今天将由主播 阿花 继续带我们分享

蟹工船(24)

では、はじめましょう!


蟹工船(24)

   網さばきをやりながら、漁夫がそれを見ていた。「何んだ泥棒猫! チエンでも切れて、野郎の頭さたたき落ちればえんだ」

    正在理网的渔工们看着他说:

    “哼,这个贼!要是吊链断了砸掉他的狗头多好!”

 

    監督は仕事をしている彼らの一人々を、そこから何かえぐり出すような眼付きで、見下しながら、側を通って行った。そして大工をせっかちなドラ声で呼んだ。

    监工以像要从中剜出什么似的眼神往下看着正在做工的他们每一个人,从他们身旁走过。而后扯着破锣嗓子急喊木工。

 

    すると、別な方のハッチの口から、大工が顔を出した。
   「何んです」

    很快,木工从另一侧舱口探出脸:

    “什么事?”

 

    見当 外れをした監督は、振り返ると、怒りッぽく、「何んです? ――馬鹿。番号をけずるんだ。カンナ、カンナ」
 大工は分らない顔をした。

    出乎意料的监工回过头,一副气恼的样子:

    “什么事?傻瓜蛋!把编号削掉嘛,刨子、刨子!”

    木工显出不解的神色。

 

 「あんぽんたん、来い!」
 肩幅の広い監督のあとから、鋸(のこぎり)の柄を腰にさして、カンナを持った小柄な大工が、びっこでも引いているような危い足取りで、甲板を渡って行った。――川崎船の第36号の「3」がカンナでけずり落されて、「第六号川崎船」になってしまった。

    “笨蛋,过来!”

    腰里别着锯、手拿刨子的小个头木工跟在膀大腰圆的监工后头,瘸腿似的踉踉跄跄走过甲板——作业船“第36号”的“3”被刨子刨去,成了“第6号作业船”。

 

  「これでよし。これでよし。うッはア、様見やがれ!」監督は、口を三角形にゆがめると、背のびでもするように哄笑した。

    “这下好了,这下好了,哈哈,活该!”监工把嘴扭成三角形,伸懒腰似的放声大笑。


    これ以上北航しても、川崎船を発見する当がなかった。第三十六号川崎船の引上げで、足ぶみをしていた船は、元の位置に戻るために、ゆるく、大きくカーヴをし始めた。空は晴れ上って、洗われた後のように澄んでいた。カムサツカの連峰が絵葉書で見るスイッツルの山々のように、くっきりと輝いていた。

    再往北走也不可能找到作业船了。因为吊起了第36号作业船,原地踏步的蟹工船为了返回原来位置,开始缓慢地大大掉头转弯。天空彻底晴了,如洗过一般澄澈。勘察加的山脉如在明信片上看到的瑞士山峦一般历历在目,闪闪生辉。

 

    行衛不明になった川崎船は帰らない。漁夫達は、そこだけが水溜りのようにポツンと空いた棚から、残して行った彼等の荷物や、家族のいる住所をしらべたり、それぞれ万一の時に直ぐ処置が出来るように取り纏めた。――気持のいいことではなかった。それをしていると、漁夫達は、まるで自分の痛い何処かを、覗きこまれているようなつらさを感じた。

    下落不明的作业船没有返回。渔工从一个个如水洼般空出的铺位上收拾他们的物品,查看其家人的地址,以便万一出事时能迅速处置。这绝不是让人愉快的作业。做的当中,渔工们觉得很难受,就好像自己某个痛处被人窥看似的。

 

    中積船が来たら托送しようと、同じ苗字の女名前がその宛先きになっている小包や手紙が、彼等の荷物の中から出てきた。そのうちの一人の荷物の中から、片仮名と平仮名の交った、鉛筆をなめり、なめり書いた手紙が出た。それが無骨な漁夫の手から手へ渡されて行った。彼等は豆粒でも拾うように、ボツリ、ボツリ、然し  むさぼるように、それを読んでしまうと、嫌なものを見てしまったという風に頭をふって、次ぎに渡してやった。――子供からの手紙だった。

    他们的物品中出来了写有同姓女子名字和地址的小包裹和信,那是准备等交通船来时寄走的。其中一人的物品中有一封不断舔着铅笔写的平片假名混合的信。信在渔工粗糙的手中传来传去。他们像捡豆粒一样一个字一个字零星而又贪婪地看罢,仿佛看见不快的东西摇摇头,传给下一个人——那是一封小孩写来的信。


    ぐずりと鼻をならして、手紙から顔を上げると、カスカスした低い声で、「浅川のためだ。死んだと分ったら、弔い合戦をやるんだ」と云った。その男は図体の大きい、北海道の奥地(おくち)で色々なことをやってきたという男だった。
    一个人出声地抽一下鼻子,从信上抬起头,以干巴巴的声音说:“都怪浅川,要是知道他们死了,一定打一场吊丧大战!”他块头很大,在北海道腹地做过各种各样的活计。


    もっと低い声で、
    「奴、一人位タタキ落せるべよ」若い、肩の もり上った漁夫が云った。
    「あ、この手紙いけねえ。すっかり思い出してしまった

    一个年轻的厚肩膀渔工说:
    “那家伙,我一个人就能打趴下!”
    “啊,都怪这封信,一下子全想起来了。”


  なア」最初のが云った。「うっかりしていれば、俺達だって奴にやられたんだで。他人(ひと)ごとでねえんだど」
   
“跟你说,”第一个人接道,“稍一马虎,我们也要给他干掉的,这可不是别人的事。”

 

 隅の方で、立膝(たてひざ)をして、拇指の爪をかみながら、上目をつかって、皆の云うのを聞いていた男が、その時、うん、うんと頭をふって、うなずいた。「万事(ばんじ)、俺にまかせれ、その時ア! あの野郎一人グイとやってしまうから」
 皆はだまった。――だまったまま、然し、ホッとした。

    角落里一个支起一条腿坐着咬拇指甲的渔工翻眼听着大家的话,“嗯嗯”摇完头又点点头:
“放心,交给我好了,那时候!我来捅那家伙一刀子!”
    大家默然。默然,而又舒了口气。





主播/阿花

翻译/林少华

小编/小小铭

责编/日语之声

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