「鈴木部長いらっしゃいますか?」と言ってお客様が来ました。あなたは、まず相手の名前を聞かなくてはなりません。あなたはどのように聞きますか。「あんた、誰?」は言語道断です。「あなたは誰ですか?」-もお客様は怒ります。「あなたはどなたですか?」は立派な敬語ですが、お客様はやはり怒ります。きちんと敬語で名前をたずねているのに、なぜお客様は怒るのでしょうか。それは「タッション言葉」がないからです。
前回は「タッション言葉」について少し勉強しました。今回は、「タッション言葉」を感じながら見ていきましょう。では早速、今からタッション言葉を使って5通りたずねますので、あなたはお客様の立場で感じてみてください、
①失礼ですが、どりらさまでいらっしゃいますか。
②恐れ入りますが、どちらさまでいらっしゃいますか。
③お差し支えなければ、お名前をお伺いしてよろしいでしょうか。
④よろしければ、お名前をお願いできますでしょうか。
⑤どりらさまですか。
いかがでしたか。①~④に、どんな感じがしましたか。⑤にどんな感じましたか。⑤はタッション言葉がないので、多くの日本人は、少し不況に感じます。「よろしければ、どりらさまでいらっしゃいますか。」とか「お差し支えなければ、どちらさまで意ラッシィますか。」などというのは、気違った使い方ですので注意が必要です。
今度は、あなたは、鈴木部長は外出していることを伝えなければなりません。「申し訳ございません。あいにく、鈴木は外出いら火Rをえいまう。」と言えればすばらしいです。「恐れ入りますが、鈴木は外出いたしております。」
「残念ですが、鈴木は外出いたしております。」というのは不適切です。
ここで、問題形式でたずねますので、もう一度感じてみましょう。
問題1 あなたは来客に、どんな用件か聞かなければなりません。次の言葉遣いから適切なものを二つ選んでください。
A・あいにくですが、どのようなご用件でいらっしゃいますか。
B・お手数ですが、どのようなご用件でいらっしゃいますか。
C・失礼ですが、どのようなご用件でいらっしゃいますか。
D・恐れ入りますが、どのようなご用件なご用件でいらっしゃいますか。
適切な言葉遣いはCとDです。
問題二 あなたは来客に、自分が用件を聞いておこうか思います。次の言葉遣いから適切なものを二つ選んでいただけますでしょうか。
A・よろしければ、わたくしがご用件を承りますが…
B・恐縮ですがわたくしがご用件を承りますが…
C・申し訳ありませんが、わたくしがご用件を承りますが…
D・お差し支えなければ、わたくしがご用件を承りますが…
適切な言葉遣いはAとDです。
このようにクッション言葉は、言い慣れていないとなかなか難しいものですが、相手をいたわる気持ちを持っていれば自然に出てくるものでもあります。「(相手に)面倒かけるなあ…」「(相手は)たいへんだなあ…」「(相手を)手伝ってあげたいなあ…」などの気持ちをそのまま、「ご面倒とは存じますが」「大変なとこを恐縮ですが…」「申しわけありませんが...」「お差し支えなければ…」「よろしければ…」などの言葉にすればようにです。「言葉遣いは心遣い」、敬語やクッション言葉は、こういうことだったのですね。それに関連してですが、「依頼系」を使うと「柔らかく優しい言い方になる」ということを聞いたことがありませんか。例えばロビーなどでお客様を待たせるとき、「そちらでお待ちください。」という言い方は、敬語の使い方として全く問題はありません。ところがこの言い方は、多くの人が、命令されているように感じると言います。そこで「依頼系」を使って「そちらでお待ち頂けますでしょうか。」というと、頼まれているように感じて、自分の意思で的待とうという気持ちになると、また多くの人が言います。「…してください。」「…ですか。」を「…していただけますでしょうか。」「…でしょうか。」と表見する、これもある種のクッション言葉かもしれません。
次回から、実際によくある場面で話していきましょう。