成人式というと、いまだに1月15日が浮(う)かぶ。祝日法(しゅくじつほう)の改正(かいせい)で「1月がつの第2月曜」とされる以前の古い感覚が抜(ぬ)けないせいだろう
说起成人仪式,现在仍然想到1月15日。大概是因为节假日法的修订,我还沉浸在“1月第2个星期一”这种从前的感觉中吧。
▼そもそも成人式はいつ始まったのか。「成人式発祥(はっしょう)の地」を掲(かか)げる埼玉県蕨市(さいたまけんわらびし)によると、戦後(せんご)まもない1946年11月にあった「青年祭(せいねんさい)」が起源(きげん)だという。敗戦で沈んだ街を盛り上げようと地元の青年団が開き、冒頭(ぼうとう)の式典(しきてん)を「成年式」と呼んだ。祭りは3日に及び、音楽や漫才(まんざい)、野球大会でにぎわった
成人仪式最初是起源于何时呢?根据宣称是“成人仪式的发祥地”---埼玉县蕨市的说法,成人仪式起源于战后不久的1964年11月举行的“青年节”。当地青年们为了让战败后萧条沉寂的街道重新恢复活力举办了“青年节”,把最开始的庆典活动称为“成年仪式”。“青年节”持续了3天,举办了音乐会、相声以及棒球大赛等,热闹非凡。
▼郷土史(きょうどし)によると、男性にはカーキ色の国民服(こくみんふく)が多く、女性にはもんぺ姿が目立った。会場の一角(いっかく)には、戦地から戻らない人の消息(しょうそく)を探す復員(ふくいん)相談室も設けられたという。翌々(よくよく)年の48年、祝日法が施行(しこう)され、成人式は各地へ普及していく
根据乡土史的记载,男性多穿着卡其色的国民服,女性穿着裙裤格外显眼。据说会场一隅还设置了复员咨询室,供人们打探还没从战场回来的士兵的消息。到了1948年,国家实施了节假日法,成人仪式普及到了全国各地。
▼市中心部の城址(じょうし)公園には「青春」という石碑(せきひ)が立つ。「青春とは人生の或(あ)る期間を言うのではなく心の様相(ようそう)を言うのだ」。米詩人ウルマン原作(げんさく)の「青春」である。「人は自信と共に若く恐怖(きょうふ)と共に老ゆる」。歯切(はぎ)れよく格調(かくちょう)高い
在市中心区的城址公园里立着一块名为“青春”的石碑。上面刻着美国诗人乌尔曼的诗歌《青春》:“青春不是年华,而是心境”“年轻就是和自信与共,年迈则是与恐怖与共”。这首诗歌朗朗上口,意味深长。
▼詩は地元出身の岡田義夫(おかだよしお)氏が訳して知られるようになった。岡田氏は戦前(せんぜん)から羊毛(ようもう)工業界で活躍した紡績(ぼうせき)の専門家。終戦(しゅうせん)直後にこの作品を知り、自ら訳して座右(ざゆう)の銘(めい)とした。今月で没50年になる
诗歌由出身于当地的冈田义夫译为日语而广为人知。冈田是从战前就一直活跃于羊毛工业界的专家。战后不久得知了这首诗,翻译为日语作为自己的座右铭。本月是冈田先生去世50周年。
▼さて筆者がこの詩に初めて接したのは20代の半なかば。久しく忘れていたが、思いがけず公園で再会した。人影(ひとかげ)がないのをさいわいに、名訳(めいやく)をあえて声に出して読んでみる。30年前には理解のむずかしかった老いと若さの境界(きょうかい)がはっきり見えた。
我初次知道这首诗是20多岁时。时隔多年已经忘却了,却意想不到在这个公园再次看到。所幸四周无人,我试着大声朗读了这首名作。30年前觉得年老与年轻的区别晦涩难懂,如今却深有体会。
【天声单词】
Δ浮かぶ(うかぶ):(自动)想起(考えてや思いが意識されるようになる)
Δ抜ける(ぬける):(自动;二类)原有的气势、力量、状态、性质等减少(立てないようになる)
Δ冒頭(ぼうとう):(名)事情的开端(ものの初めの部分)
Δもんぺ:(名)日本农村妇女劳动时穿的裤子(主に農村の女性が用いる)
Δ復員(ふくいん):(名;三类)退伍,从战时编制转入平时编制
Δ翌々(よくよく):(接头)第三(その次の次の)
Δ歯切れ(はぎれ):(名;自动;三类)口齿,发音(言葉の発音や調子がはっきりしている度合い)
Δ格調(かくちょう):(名)风格,格调(詩歌の体裁や調子。転ぶじて、文章や演説などについてもいう)
Δ座右の銘(ざゆうのめい):(名)座右铭(いつも自分の座る場所のそばに書き記しておいて、戒めとする文句)
Δさて:(接续)用于结束前面的话并转入新的话题,那么(別の話題に移る気持ちを表す)
Δ思いがけず:(形)意想不到(全く予期することの出来ないことに出会う様子だ)
Δ名訳(めいやく):(名)细致(優れた翻訳や解訳)
【相关背景资料】
1、郷土史(きょうどし、独: Heimatkunde)とは、ある一地方の歴史を調査・研究していく史学観の一つである。日本にも風土記などの地誌資料があったが、あまり着目されていなかった。郷土史という概念は、ドイツのハイマートクンデ(ドイツ語版)の概念が日本に持ち込まれたものである。
2、埼玉県蕨市は全国の市の中で最も面積が狭く[1]、区町村を含めても8番目(区は特別区のみ)に狭い。人口密度は全国の市町村で最も高いが、東京23区全体(15,226 人/km²)より高くはなく、市区町村では15番目である(2017年10月1日現在)。2000年代前半時には東京都区部より高かった時期もあった。
主に住宅地からなるが、江戸時代には蕨宿が置かれ、中山道の宿場町として非常に栄えていた。この地で1946年(昭和21年)から開催されている『青年祭』が成人式の基礎になった。
3、サミュエル・ウルマン(Samuel Ullman, 1840年4月13日 - 1924年3月21日)は、アメリカの実業家・詩人・人道主義者。彼の名は詩 "Youth"(日本では「青春」あるいは「青春の詩」と訳される)でよく知られている。
来源:朝日新闻
朗读:吴阳
注音:谢頔
生词:谢頔
背景资料整理:杨荣
翻译:任静
后期:恩惠
责编:孙鹏轩