五月雨 吉江乔松

五月雨

吉江乔松 

2026.9.8.

五月的雨,像有声音的思念者,缓缓地落下。 

从屋顶传来,滴落在屋檐上,再从屋檐流下,汇入庭院的溪流,发出喧嚣的声音。庭院的花坛也浸在水中,从门下到床榻之间,水流如织,洗刷着地面,又不知去向何处。 

在夜色的黑暗中,雨水仿佛化作黑色的丝线,缓缓垂落。泥土被冲起,浑浊的水旋涡般流淌,天空也变得昏暗,无论往哪里看,都找不到方向。我蜷缩在家中,坐在电灯下,突然听到那声音,却感到不安。即使铺好床,躲进蒲团里,也无法安然入睡。 

我本想以“乌云密布”为借口,躺在窗边,但内心却莫名地不安,难以入眠。倘若大地上的流水,能寻得一处缝隙,渗入地下,从那里涌出,像瀑布一般倾泻于地表,那么人类不知不觉间,地球内部是否也会因这股力量而溃散,突然崩塌? 

我这样想着,忽然又觉得,或许有人正从地底探出头来,在地上动荡的时刻,将覆盖着人间的房屋一端一端地推倒。难道有什么巨大的手,正伸向我此刻卧在的家的床下,摇晃着整座房子? 

如同梦境一般,当我猛然睁开眼时,确实感觉到家中的床榻在微微晃动。我竖起耳朵,听见水声从地下汩汩流出。地下的呻吟与地上的混乱,丝毫未能让我安心。 

这种不安持续了整整数夜。 

五六天后,五月的雨终于停了。厚重的云层一层层剥开,透过云隙,蓝天渐渐显现。阳光洒落在大地上,地面上蒸腾出袅袅热气。垂着的草叶轻轻抬高,树梢的嫩芽也开始抽出。 

我打开窗户,让阳光照进潮湿、弥漫着霉味的屋内。只见地板上,人影的足迹清晰可见。当我仔细一看,便发现两块木板之间,竟有一物探出,像是某种东西正在挣扎着要破土而出。起初,它看起来毫无征兆,但仔细观察,那东西宛如竹笋般的芽尖,正从缝隙中悄然钻出。有些竹芽被压在垫子上,芽尖被压得平展,仍似在寻找出口,苦苦挣扎。另一些则刚好在垫子的接缝处,向上挺立。 

我急忙掀开三五块垫子,揭开木板,发现庭院中流下的水,还积聚在各处,其中,细长的竹芽如蛇般蜿蜒爬行,从地底延伸出来,朝这边朝那边,全部伸展着,紧紧抓住木板,扭曲着身体,令人厌恶。水面上,粗壮的竹根如蛇般蜿蜒爬行,从地底穿出,阳光不知从何而来,投射到这些地方,泛着奇异的色彩。

我感到十分恐惧。我厌恶地摘下竹芽,把它们打在地板上铺成了榻榻米。然而,我却对榻榻米中间冒出的竹芽心生疑虑,竟无法安心躺下;想到床下的景象,更不敢再想躺卧其上。

竹芽已从边缘伸展五六寸,数根头尖探出地面。那些嫩芽仿佛窥视着屋内一般,从玄关的土间里破土而出,昂首向上。而木板等支撑物也多次被从下方撞得粉碎。整个屋子仿佛随时都可能倾覆。

我决定立即搬离那座自冬以来已住了两三个月的房子。此后,我又曾两次经过这栋房子前,但始终没有发现有人居住。

我想象着,竹芽在屋内不断生长,门框、屏风和帘子都因它们扭曲而显得变形,于是便匆匆走过那栋房子的门前。

五月雨

吉江喬松

 五月雨さみだれが音を立てゝ降りそゝいでゐた。

 屋根から伝つて雨樋に落ち、雨樋から庭へ下る流れの喧しい音、庭の花壇も水に浸つてしまひ、門の下から牀ゆか下まで一つらに流れとなつて、地皮を洗つて何処へか運んで行く。

 夜の闇の中で、雨も真黒い糸となつて落ちて来るやうに思はれる。泥がはね上り、濁水が渦巻いて流れ、空も暗く、何処を見ても果てがつかない。家の中に籠つて電灯の下で、ぢつとその音を聞いてゐても不安が襲つて来る。牀とこを敷いて蒲団の中へもぐり込んでも安眠が出来ない。

 うと/\として宵から臥てゐたが、私は妙に不安な気がして眠れなかつた。大地の上を流れてゐる水が、何処か一ヶ所隙を求めて地中へ流れ込んで行つたらば、其処から地上の有りたけの水が滝のやうになつて注ぎ込んで行つたらば、人間の知らずにゐる間に、地球の中が膿んで崩れて不意に落ち込みはしないかといふやうな気がせられた。

 と思ふと、また何者かその地中から頭を上げて、地上の動乱の時機に際して、地上を覆つてゐる人間の家屋を、片端から突き倒しでもしはしないか。何ものかの巨きな手が、今私の臥てゐる家の牀下へ伸ばされて、家を揺り動かしてゐるのではあるまいか。

 夢のやうに現のやうに、私ははつと眼が醒めると、たしかに家のゆさ/\揺すぶられたのを感じた。耳を立てると、ごう/\いふ水の音が地中へ流れ込んでゐるやうに思はれた。地中の悶えと、地上の動乱とが、少しも私に安易を与へなかつた。

 さういふ不安が幾晩もつゞいた。

 五六日経つと五月雨が止んだ。重い雲が一重づゝ剥げた。雲切れの間から雨に洗はれた青空が見えて来た。日の光が地上に落ちた。地の肌からは湯気が立ち上る。ぐつたり垂れてゐた草の葉が勢好く頭を上げる。樹々の芽が伸びだした。

 戸障子を開け放つて、雨気の籠つた黴臭い家の中へ日の光を導き入れると、畳の面に、人の足痕のべと/\ついてゐるのも目にはひつた。不図気がついて見ると、畳と畳との間から何か出かゝつてゐるのが目にはひつた。何とも初の間ははつきりしなかつた。傍へよつてよく見ると竹の芽のやうだ。私はぞつとして急いで畳を上げて見た。牀板の破れ目から竹の芽が三四寸伸びて出てゐた。或ものは畳に圧せられて、芽の先を平らにひしやげられたやうにして、それでも猶ほ何処かへ出口を求めよう/\と悶えてゐるやうな様をしてゐた。或ものは丁度畳の敷合せを求めてずん/\伸び上らうとしてゐた。

 私は畳を三四枚上げて、牀板ゆかいたを剥がして見た。庭から流れ込んだ水が、まだ其処此処にじくじく溜つてゐる中から、ひよろひよろした竹の芽が、彼方にも此方にも一面に伸び出て、牀板に頭をつかえて、恨めしさうに曲つてゐた。水溜の中を蛇のうねつてゐるやうに、太い竹の根が地中を爬はつてゐた。日の光が何処からか洩れて、其処まで射し込んで、不思議な色に光つてゐた。

 私は怖ろしくなつた。竹の芽を摘み取るのさへ不気味に思つて、そのまゝ牀板を打ち付けて畳を敷いた。けれど畳の間に出てゐる芽が気になつて、其処へ臥る気にもなれなかつた。牀下の有様を思ふと、その上へ平気で臥てゐる気にもなれなかつた。

 縁さきへその芽は五六寸伸びて、幾本も頭を出した。その頭は家の中を覗き込むやうにした。玄関の土間からはむく/\地を破つて、頭を上げて来た。上げ板などは下から幾度となくこつ/\突つかれた。家全体が今にも顛覆させられさうに思はれた。

 私は冬からかけて二三ヶ月ゐたその家を早速移ることにした。其後も私は二三回その家の前を通つたが、何人も住んでゐる人がなかつた。

 私は、その家の中に、竹の芽が思ふまゝに伸びて、戸障子や襖ふすまのゆがんでゐる有様を思ひ浮べて、こそ/\その家の前を通り過ぎた。

©著作权归作者所有,转载或内容合作请联系作者
【社区内容提示】社区部分内容疑似由AI辅助生成,浏览时请结合常识与多方信息审慎甄别。
平台声明:文章内容(如有图片或视频亦包括在内)由作者上传并发布,文章内容仅代表作者本人观点,简书系信息发布平台,仅提供信息存储服务。

友情链接更多精彩内容