白瓜と青瓜
長塚節
白瓜与青瓜
长冢节
2026.8.13
长冢节(1879年—1915年),日本诗人、小说家,出生于茨城县结城郡冈田村富农家庭。代表作包括《松果集》《西游歌》《土》等。1900年拜正冈子规为师,1903年与伊藤左千夫等人共同创办《马醉木》杂志 [2] [4]。1903年发表歌集《绩麻集》,1905年出版《关于写实歌》引发歌论之争 [1-2]。1910年长篇小说《土》在夏目漱石建议下连载,以写实手法描写封建制度下农民的生存困境 [1] [3-4]。1911年病重后创作《我的病》,1912年创作《病中杂咏》等短歌 [1] [4],作品收录于《鍼の如く》歌集。
庄次是小作人的儿子。他的家属于土著多治乡的百姓。当然,作为百姓,一旦失去土地,便只能流离失所、四处流浪,除非发生不可抗力的情况,否则绝不会如此。没有土地所有权的人,只能租种他人的田地耕作,然后按约定向地主缴纳一定比例的金钱或粮食作为租金。这就是所谓的“小作料”,也就是我与他们之间交换的税赋。因此,小作人所拥有的生活,从他们的收成中扣除自己的食物,可见其体格健壮之人,实际上却无法真正获得应有的劳动回报。然而,他们几乎全年都只从事田间劳作,因而极为节约衣食。至于饮食方面,除了购买盐之外,他们自己亲手制作的食物足以满足基本需求。此外,只要拥有雨棚,就无需担心居住问题。
正因如此,若能以消极的态度面对生活,反而可以过上一种异常轻松的生活。幸运的是,他们并不缺乏希望。他们的身体如同经过锤炼的铁一般坚硬,而内心也具备强大的意志力,能够抑制住任何外在的压迫。
庄次也是这样一位小作人中的佼佼者,为人格外勤勉。他年迈的父亲每年夏天都会开辟一块瓜田,依靠这一田地的收入来维持一年的家庭开支。由于蔬菜种植不像其他农活那样需要大量精力投入,因此对百姓而言,这并非一项有利可图的工作。其中,瓜类的种植尤为特殊。从前一年秋天起,父亲便在麦田中间留出一片空地,专门用来播种西瓜种子。当凉爽的微风轻轻拂过麦穗柔软的顶端,空气和土壤都被润泽时,庄次家的西瓜种子便悄然发芽,长出两片嫩叶。随着阳光逐渐直射,温度不断升高,麦子又会周密地保护着它们。然而,即便如此,若红虫突然出现,也会迅速啃食嫩叶,让祖父的辛劳变得异常艰难。为了驱赶虫害,他常将灰烬撒在瓜叶上,多次尝试,终于成功杀灭了这些敏捷的飞虫。
当麦子被割倒后,周围显得格外清爽明亮,西瓜藤蔓则旺盛地向上伸展。藤蔓末端柔软且微微翘起,看起来十分美丽。但若缺乏足够的看护,红虫仍会继续啃食叶片。等到西瓜藤蔓上陆续开出细小花朵时,瓜田便已不再有担忧的必要。
麦秆铺满地面,藤蔓依附于草席之上,生机勃勃地生长着。最引人注目的是,西瓜的藤蔓上开出了形似唐草的叶子。小果实起初并不显眼,但稍大后,一夜之间便迅速膨大,几天之内就变得硕大沉重。恰如静谧沼泽中漂浮着菜花一般,那黄色的小花竟也成了甜瓜的象征。在田角处,一块田地里种着西瓜和甜瓜,两株作物旁还长出了一片片白色的小花,仿佛在静谧的沼水之上泛起泡沫,轻轻绽放。那里结出了一颗白瓜。紧邻白瓜的另一块田地上,也开着这种朴素的花朵,其中深青色的瓜果尤为饱满。尽管两者都呈现出较大的形态,但其中青瓜更显肥大而结实。白瓜的白皮下包裹着洁白甘甜的果肉,青瓜的青皮下则透出淡淡的清润青色。它们的甜味虽不及其他西瓜或甜瓜那样浓郁,却依然令人赞叹。
然而,当将它们切成两半并用盐压榨时,其切口处似乎带着清凉之感,让人觉得比西瓜或甜瓜更加耐嚼,从未有过令人厌倦的感觉。此外,若再加以酒糟妥善储存,还能保持其品质,远胜于普通西瓜与甜瓜。白瓜为白瓜,青瓜为青瓜。相邻的青瓜与白瓜,如同伸出双手般紧紧相握,彼此缠绕,形成一种紧密的联系。
接着,那位从一隅到另一隅悉心照料的老人,用指甲尖摘除藤蔓末端的嫩芽,彻底清理干净。无论青瓜还是白瓜,都在伸展的叶片间露出类似椎状的果实形状。当花朵在旁边盛开时,老人便摘下藤蔓的顶端,完成整件事。如此一来,这些小瓜便能茁壮成长。若不加干涉,任其自然生长,小瓜便会逐渐变大,最终掉落下来。
虽然瓜类始终受到各种限制,但另一方面,正是由于老人周到的精心准备,它们获得了充足的养分,即使吸收了大量营养也不易枯萎。因此,这些瓜类无论从何处生长,都能持续不断地抽出新枝。老人又仔细地将其根部剪断,停止生长。这样,白瓜便永远保持洁白,青瓜则维持油润的光泽,一同安放在麦秆上,静静地躺着。这两者仅是相邻、相互依偎而已。当瓜类达到适中大小时,老人便将它们从藤蔓上剪下,投入粗陋的笼子中。成熟的两个瓜,在老人无杂乱的手艺下,每天都会结出无数的果实。炎热的白天,瓜田上横卧着麦秆,连瓜瓤也因酷热而发烫,夜晚的凉意却让人心生清凉。瓜田周围种下的玉米,高高地挺立着,守护着美丽的瓜果。玉米秆上绑着竹子,自然形成了一道篱笆。穗尖处那片片颤动的玉米,仿佛在为任何事发出嘈杂的声响。瓜田一角建起了小屋,小屋里悬挂着一张巨大的蚊帐,爷爷每晚都躺在那里睡觉。负责运瓜到市场的任务,是庄次每天的职责。黑暗的夜接着又接续着月光之夜。有时晚上,庄次觉得爷爷出了什么问题,便由庄次来守夜。
在瓜的小屋过夜,对沉睡的庄次而言,根本不是合适的角色。然而庄次从不因为困倦而打盹。他更担心的是,如果盗贼闯入瓜田,不如及时抓住他们,而不是惋惜瓜被偷走。他的内心始终驱赶着盗贼,从未厌倦。他是个生来就正直、性格坚定的人。
庄次蜷缩在陈旧的蚊帐里,避开吸血的蚊子。蚊帐的顶棚渐渐被汗水浸湿,触到了他的头。当天气变热时,他又从蚊帐中探出半身,昏昏沉沉地躺着。月亮从短小的棚屋中窥视进来。整个瓜田仿佛被薄雾笼罩,显得明亮而洁白。其中最白、最美丽的是白瓜。庄次凝望着它,恍惚不已。
突然,一位技艺高超的针灸师,如同用银针刺耳一般,马尾虫的声音悄然渗入耳底,停驻于庄次所躺的蚊帐之上。随着月亮位置的变化,夜色逐渐凉透,整夜弥漫着寒意。庄次终于将身体缩进蚊帐之中。不知为何,狗吠声清晰可闻。远处和近处的村庄里,传来歌声或断续响起。年轻的村人等,夜间则徘徊在这些地方,寻找女子。他们为了讨好女性,不惜改变衣着,令自己备受困扰。各村之间,士兵归来的身影也穿插其间,这使得他们的风俗习惯发生了变化。
尽管如此,庄次与同伴表面上看似疏远,但其实并未因此沾染其病。他自幼受八釜铺的爷爷教养,从小便完全失去了对农耕的兴趣。这个夜晚,他竟无端地感到自己职业与兴趣之间的矛盾。庄次虽承担着看守人的责任,但与平日不同,他无法安然入睡。他每日都在思考去市场的事宜。夜渐深,空气的凉意渐渐渗入身体。周围蜀黍的叶子似乎更加努力地试图驱赶这人,发出剧烈的“沙沙”声。每当微风拂过蚊帐的边缘,偶尔会轻轻碰触他的脸颊。而当耳朵开始发烫时,他听到一阵不知从何传来的声音,随即又停了下来。他以为自己心里在想什么,但事实并非如此。那声音既没有特别靠近,也没有离开的样子。
庄次顿时感到有些害怕,便裹紧了被褥,再次仔细地竖起耳朵。突然间,他听见一种像是“沙沙”的声音。过了一会儿,声音停止了,庄次睁开眼睛一看。虽然月亮的光已渐渐稀疏,但瓜田里仍明亮如初。尽管隔着蚊帐,他却清晰地看见白瓜在眼前晃动。木门外面,围墙边的蜀黍遮挡着视线,什么也看不见。不久之后,天亮了。
第二天清晨,庄次仔细检查了田地,发现没有一粒瓜被偷走。到了第二天晚上,他又轮值守夜,但这次却发生了不同寻常的事。庄次无法与他人沟通,他怀疑是否有人在玩恶作剧,仿佛是狐狸或狸猫的恶作剧。然而,他并没有向任何人透露。
然而,第二晚,老人依旧像往常一样住下。木门处传来的“沙沙”声,也传到了老人的耳中。这位听力灵敏的老人立刻将枕头斜靠在身侧。此前他曾多次目睹过这种对村庄青年的恶作剧,因此,老人心中充满了愤怒。他迅速卷起蚊帐,猛地跳了出来。他几乎忘了手中还拿着棍棒。然而,老人的惊恐和震惊究竟有多强烈呢?那里站着一个人,却始终没有逃走或躲藏的迹象,只有站在蜀黍旁的人。显然,此人并非盗贼。那么,究竟是谁呢?正是老人所思念的、那位地主的女儿——小杉。她正以完全顺从的姿态,屈服于地主的控制之下。
这个朴素、无辜,却拥有可怕坚强意志的老人,在从蚊帐中跃出的同时,对着小杉发出极其激烈而尖锐的辱骂之声。随后,他粗暴地抓住了小杉作为盗贼。更令人震惊的是,老人的恐惧程度之深,几乎让他无法忍受。面对地主,他几乎完全顺从,而那固执的老人,其头颅早已被驯服得毫无反抗之力。他只是不停地向小杉道歉,然后在深夜将她送回了家门。
他那原本正直而坦率的心灵,如今已被彻底蒙蔽。他一直等不及夜幕降临,心中焦急万分。庄次听到老爷爷那句“你竟敢如此无礼地行事”时,不禁感到一阵刺骨的寒意,这番话如同利刃般直击其心。
庄次完全不明白这究竟是怎么回事。他常看到老爷爷脸色阴沉,便认为这绝非小事。然而,他却什么也没说,只是默默低头,继续履行自己的职责。
老爷爷如猛兽般冲向地主家的门口。我虽已年岁渐长,但也不该如此担忧,竟在毫无防备的情况下,对那位无法挽回的您的女儿造成了伤害。若您要惩罚我,我必当以手足之刑来报应,但请务必让您的女儿也好好反省一下。
然而第二天晚上,老爷又像往常一样住进了那间屋子。木门的“啪”一声响彻在老爷的耳中。这位听力灵敏的老先生立刻将枕头斜靠在身旁。因为他此前曾多次为那些恶毒的村子里的年轻人做过示范,所以这次老爷心中充满了极大的愤怒。他悄悄卷起蚊帐,猛地跳了出来,手握棍棒的动作也几乎下意识地浮现于脑海。然而,老爷的惊愕与震惊究竟达到了何种程度呢?那里明明站着人,却无人敢逃或躲藏,只有个子矮小的庄稼人坐在稻草堆旁,显然并非盗贼。那么,究竟是谁呢?正是老爷心神不定的那位地主的女儿——小杉。她正是那个对老爷绝对顺从、毫无反抗的地主之女。
这位朴素而无辜、却拥有可怕坚强意志的老爷,一跃而出,从蚊帐中冲出,同时向对方发出极其尖锐的辱骂声。随后,他粗暴地抓住了小杉作为盗贼。更令人震惊的是,老爷的恐惧与胆怯竟如此之深。面对地主,他几乎完全屈服,连头都显得格外软弱。他只顾着向小杉道歉,然后便在夜色中将她送回了自家门口。
他的正直与坦率之心已变得昏暗。他无法忍受漫长的黑夜,内心焦急不安。他口中说出的那番话,是对自己所做之事的强烈谴责,甚至比自己所想的还要激烈。庄次对此一无所知,只是默默点头表示理解。但他并未多言,而是立即投入自己的职责之中。
老爷如猛兽般猛然跨过地主的门槛。我虽年岁已高,但也不愿再有这种担忧,因此他轻率地伤害了你女儿这不可挽回的女子。若要惩罚她,哪怕用拳头或脚踢打,我也绝不退缩。可请务必让女儿也保持清醒,否则她会因恐惧而喘不过气来,冷汗不断流下。仅凭这些言语,不知他咽下了多少次苦涩的唾沫。他以为庄次已经引诱了小杉,而小杉昨晚也确实在瓜田里忍耐着庄次的存在,这一点他毫不怀疑。
由于老爷一心只想着这件事,他内心深处根本无暇容许庄次口中吐露任何真相。他只想从地主那里得到严厉的责备。奇怪的是,因为不顺心的媳妇实在太过麻烦,又因贵重的安排不太合适而被责骂得体无完肤,所以才想让自己内心烦躁不安的情绪得到平息。这正是老爷的心愿。
听到老爷这番话的地主起初十分震惊,但随即心中涌起一个念头:绝不希望这件事传到外界去。于是他立刻叫来小杉和小杉,询问情况。小杉低头后便垂头丧气,一言不发。老爷讲完那番严肃的话后,地主心里立刻有了“判断”。他决定,如果真能如此,就将小杉许配给庄次为妻。
庄次之所以打动地主的心,是因为他是个有远见的人。同时,他也觉得如今自己女儿可怜,因此打算无论如何也要让她拥有可养活自己的田地。虽然此事并非当天就能完成,但随着家中不断商议,渐渐地就自然成行了。
然而,首先必须明确老爷的意愿,于是他便亲自前来,坦率地向老爷陈述了自己的想法并请求商议。但老爷却始终无法接受地主所说的一切,因为他担心老爷会认为自己身份与地主不同,因而感到恐惧。与此同时,当地主的话终于被理解时,老爷在面前热泪盈眶地哭了出来。
直到回家的路上,他的脚步仿佛有些踉跄,心情也如同漂浮在云间一般。回到家后,他虽未向庄次讲述这一切,但他仍忍不住要提醒道:“若你忘了这事,那你就不是人了。”他一边说,一边哭泣着,似乎也在那里感到欣慰。
庄次听到突如其来的消息,竟对这个纯真青年产生了难以抑制的怜悯之情。他从未与小杉有过任何关系,但内心深处却一直藏着一丝愧疚。两人之间的感情逐渐萌芽并发展起来。小杉是出身于农舍、在农舍中成长起来的女孩,作为贫穷家庭的女婿,她从不抱怨生活的艰辛。
此后,两人的生活平静如沼泽水般持续了许久。夫妻二人育有数个孩子。老爷去世后,他们依然没有停止耕种。瓜田里每年都会开出像沼泽水般朴素的小花。拉着车赶路的庄次皮肤强健,但在炎热的天气里仍能承受。而紧随其后的、推着车的小杉,白皙的脸颊在阳光下晒得通红,脊背上随时都有个小宝宝蜷缩着脖子睡着。只有夫妻两人被拖到市场,笼子里的青瓜依然保持油润鲜亮的色泽,而白瓜则依旧保持着美丽的洁白,微笑着伫立其中。
(载于《明治四十五年一月十五日发行的女子世界定期增刊第十九卷第十九号》)
庄次は小作人こさくにんの子でありました。彼の家は土着どちやくの百姓であります。勿論百姓といふものが一旦落ちついた自分の土地を離れて彷徨さまよふといふことはよく/\の事情が起らない限りは決してないことであります。自分に土地を所有する力の無いものは他ひとの土地を借りて作物さくもつを仕付しつけます。そして相應に定められた金錢や又は米や麥の收獲の一部を地主ぢぬしへ納めるのであります。此が小作料であつて、私の間に授受されて居る租税であります。それで小作人の懷にする處は其の收獲のうちから自分の食料までも減じて見ると、立派な體格を有つた一人の働きが實際何程にも當らないのであります。然し彼等は四季を通じて殆んど田畑の仕事にばかり屈託して居るのですから衣類の節約が極端に行はれて居ます。それから食料というても、第一には鹽を買ふ外には自分の手で作つた物で十分に滿足することが出來ます。それからどんな姿なりにでも雨戸が有れば住むに事を缺くことはないのであります。
恁こんな状態でありますから消極的な身の持方をして居れば案外に苦勞のない生活がして行けるのであります。彼等には幸にも非望を懷くものはありません。彼等の身體が鍛錬された鐵のやうである如く、彼等の心にも頑強な或物があつて彼等を抑制して居て呉れるのであります。
庄次も恁こういふ小作人の仲間で殊に心掛の慥な人間でありました。彼の老としよつた父は毎年夏の仕事には屹度一枚の瓜畑を作りました。其の畑からの收益で一年間の家内の小遣錢に充てるのが例でありました。固より面倒な丹精が要いる代りには蔬菜の栽培程百姓の仕事として利益なものはないのであります。其内でも瓜類の栽培は又格別なものであります。前の年の秋からの心掛で麥の間には瓜の種を蒔きつける場所をぽつ/\とあけて置きます。爽かな凉しい風が麥の軟い穗先を吹いて、空氣にも土にも潤ひを帶びて來ると、庄次の家の瓜の種も麥の明間へ二葉を開いて來ます。段々眞直に射し掛ける日光が十分の熱度を與へてくれますし麥はまた周圍から大切に保護してくれます。それでも非常に敏さとい赤蠅がそつと來ては軟かな子葉めを舐め減すので、爺さんの苦心は容易ではありません。虫を除ける爲に瓜の葉へ灰を掛けて遣つたり、幾度か失敗しつゝ敏捷な蠅を殺したりしてやるのであります。
麥が刈られると周圍はからりとして如何にも晴々とした心持で、瓜の蔓が威勢よくずん/\と伸びて行きます。蔓の先は軟かでそしてすつと頭を擡げて居る處が、見るから心持のいゝものであります。然しそれでも十分監督がないと赤蠅は依然舐めて畢しまはうとするのであります。瓜の蔓に處々へ開いて行く葉の間から小さな花がぽつ/\と見える頃になれば、瓜畑はもうだん/\心配がありません。
麥藁が一杯に敷かれて蔓は其褥を這うて居ます。殊に威勢のいゝのは西瓜の蔓で唐草模樣の樣な葉を一杯に開きます。小粒の實が初めは然程さほどにもないのに、少し大きく成つたかと思ふと一夜の中にも滅切と太つて幾日も經たないのに抱へて重い程になるので有ます。丁度靜かな沼の水に※(「くさかんむり/行」、第3水準1-90-82)菜あささの花が泛ういて居るやうに黄色な小さな花は甜瓜まくはであります。一番に捌けのいゝ西瓜と甜瓜とが餘計に作られてある畑の隅の方に二畝三畝ふたうねみうね白い花が此れも靜かな沼の水に泡が泛いたとでもいふやうに、ぽつちりと開きました。其處には白い瓜が成りました。白い瓜と隣合うた畝うねには此も地味な花が見えました。そこには深い青みをもつた瓜が成りました。それで孰どちらも大きな形を横へましたが、其うちでも青い瓜は一層大きく丈夫相でありました。白い瓜の白い皮の下には白い快いい肉が包まれて居ますし、青い瓜の青い皮の下にはほんのりと青い爽かな潤ひを持つて居ます。孰どちらも他の西瓜や甜瓜のやうに甘い味を持つて生なまの儘稱美されるものではありません。
然し二つに割つて鹽で壓おす時には其齒切のいゝことが凉しさを添へるやうで、西瓜や甜瓜のやうにどうかすると飽きられるといふやうなことは嘗かつてないのであります。それから更に酒粕へ上手に蓄へられゝば迚ても西瓜や甜瓜の遠く及ばない價を保つて珍重されるのであります。白いのは白瓜で青いのは青瓜であります。隣合つた青瓜と白瓜とはずん/\手を伸ばして其細いくるくると卷いた髭のやうなもので、互に握り合ふばかりに成りました。
さて隅から隅まで注意を怠らない爺さんは伸ばさうとする蔓の先をみんな穢い爪の先で摘んで棄てゝ畢ひました。青い瓜も白い瓜も伸び出した葉の間に椎の實のやうな瓜の形を見せて、其の側に立てた尻に花が開くと其處から、爺さんは蔓の先を摘んで畢ふのであります。さうすると其の小さな瓜が必ず滿足に生長して行きます。さうでなくて氣儘に任せて置くと小さな瓜はどうかするといゝ加減の大きさに成つてぼろ/\と落ちて畢ふのであります。
瓜はかうして始終窘たしなめられて居ますが、一方には又一番必要な肥料といふものが爺さんの周到な用意で幾ら吸うても吸ひ切れない程十分に與へられてあります。それで生氣の衰へない瓜は何處からでも蔓を吹き出します。爺さんは又根こんよくそれを摘んで止とめます。かうして白瓜はどこまでも白く、青瓜は油ぎつたつやゝかさを保つて、共につゝましく麥藁の上に横はります。兩ふたつの瓜は唯相隣して互に見合うて居るばかりでありました。爺さんは瓜がいゝ加減の大きさに成れば其瓜を蔓から切り放して粗末な籠へごろ/\と投げ込みます。成熟した兩の瓜はかうして爺さんの無雜作な手によつて毎日數多の結婚が成立して居ました。
暑い日が麥藁の上に横はつて居る瓜の膓はらわたまでも熱しては、夜の凉しさが冷たく潤しました。瓜畑の周圍に蒔かれた玉蜀黍はすつくりと立つて美しい瓜を守つて居ます。玉蜀黍の莖には横に竹を結んで自然に垣根が造られました。穗先のざらけた玉蜀黍は何事にもざわ/\と騷ぐのであります。瓜畑の隅には疾から小舍が建てられて、小舍には不相應な大きな蚊帳が吊られました。爺さんは毎晩そこへ起臥おきふしをするのであります。瓜の番は爺さんの役目で瓜を市場に運ぶのは庄次の日毎の役目であります。闇の夜が續いてそれから月の夜が續きました。或晩爺さんに何かの故障が有つたと見えて庄次が小舍の番をすることに成りました。
瓜小舍に泊るのは何といつても夜は眠い庄次に、適した役目ではありません。然し庄次は眠いからといつて眠ることはしません。彼は瓜が盜まれるのを惜むよりも、若し盜人が踏み込んだとしたならそれを捉へなければなるまいといふのが懸念なのでありました。彼のこゝろは盜人を逐ひ出すのさへ厭なのであります。彼はそれ程穩かな生れた儘の眞直な性質の人間であります。
庄次は血を吸ひに集つて來る蚊を避けて古びた蚊帳の中にぽつねんとして居ました。だぶ/\にたるんだ蚊帳の天井は坐つた彼の頭に觸りました。そして又暑くなると蚊帳から半身を出してぼんやりとして居ます。月は番小屋の短い廂から覗いて居ます。瓜畑は凡てが薄霧で掩はれたやうにほんのりと明るく、且つ白く見えました。其中で殊に白く美しいのが白瓜でありました。庄次は恍惚として白瓜を見て居ました。
すると恰も上手な鍼醫はりいが銀の鍼を打つやうに耳の底に浸み透る馬追虫の聲が、庄次の這入つてゐる蚊帳に止まつて鳴きました。月の位置が移るに從つて夜は凉しく沈んで、一體に身にしみじみとして來ました。庄次は到頭蚊帳の中へ身を横へました。何の爲に吠えるのか犬の聲が鋭く聞えます。遠くの方、又近くの方の村落で唄の聲が聞えたり止んだりします。若い村の男等はどうかすると夜はうろ/\と其處らを彷徨うて女を探しに歩くのであります。彼等はそれ相應に女に好かれようとして服裝みなりに心を苦しめるのであります。何處の村落にも兵隊歸りが彼等の間に異色を帶びて居ます。それが彼等の風俗を變化させるのであります。
併しながら庄次はさういふ仲間と表面は甚だしい疎遠ちがいはなくてもそれに感染かぶれるやうなことは苟且かりにもありませんでした。彼は八釜敷い爺さんの躾を受けて幼少の時分から農作に我が趣味の全部を奪はれて居たのであります。
この夜彼れは自分の職業の趣味といふ事を理窟なしに感じて居ました。庄次は番人といふ責任を考へて居たので平生とは違つて眠くはならなかつた。で毎日行く市場のことなどを考へて居ました。夜が深けるに隨つて空氣の凉しさが一しほ沈んで身にせまつて來るかと思ふと、周圍の蜀黍の葉は猶更にこの番人を眠らせまいとするやうに酷くざわ/\と騷ぐのであります。其度毎にだぶ/\の蚊帳の裾が吹きまくられて、時々彼れの頬をさすりました。そして耳がだん/\冴えて來ますと、彼はすぐ自分の小舍に近い木戸口のあたりに何かは知らぬが、こそ/\と音がしては又止むのを聞きました。彼れは心の所爲せゐかとも思ひましたが、さうでもありません。併しその物音は別段に近づいて來るのでもなく、又去らうとするのでもない樣でした。庄次は少し恐ろしく成つて蒲團を被りました。さうして又そつと耳を澄ましました。すると何となくかさ/\といふやうな音が聞えるのであります。暫くたつてそれが止んだと思ふ頃庄次は目を開いて見ました。少し月の光が疎うとく成つたと思ふやうでも、まだ瓜畑には一杯の明るさであります。蚊帳越しではありますが彼の目には白い瓜がやつぱり目に映るのでありました。木戸の外は垣根のやうな蜀黍が遮つて何物も見えないのであります。で間もなく夜が明けました。
翌る朝になつて庄次は畑を隈なく見ましたが瓜は一つも盜まれてはありません。次の夜も又番をしましたが、さういふことがありました。庄次には合點が行きません。彼れは人からよく能くいひ觸らされてるやうに貉か狸の惡戲ではないかとまで思ひました。然し誰にもいひはしませんでした。
然るところ其次の夜は元のやうに爺さんが泊りました。木戸口のこそ/\といふ音は爺さんの耳にも響きました。耳敏い爺さんは凝然じつと枕を欹そばたてました。これまで數次かうして惡戲好な村落の若者の爲にぢらされた例ためしがありましたからか、爺さんはもう非常な怒氣を含みました。窃と蚊帳を捲りながら飛び出しました。棍棒を手にすることは咄嗟の間にも忘れませんでした。然しながら爺さんの驚駭おどろきはどんなでしたらう。其處には慥に人が立つて居ましたけれども其人は遁げたり隱れたりしようとは致しません。唯蜀黍の傍に身をよせて居たまでゞあります。固より盜人ではありません。では何人であつたらう。それは爺さんが思ひもよらぬ地主の娘のお杉さんでありました。彼れが絶體の服從を甘んじてゐる地主の娘でありました。
朴訥で罪のないそして自分の權利を守る爲に恐ろしい頑強な力を有つて居る爺さんは、蚊帳から飛び出すと共に、非常に劇しい惡罵の聲を曲者に浴せ掛けたのであります。そして盜賊としてお杉さんを手荒く捉へたのであります。更に爺さんの恐怖おそれがどれ程であつたでせう。其地主に向つては殆んど絶對の服從をすら甘んずるばかりに物堅い爺さんの頭は馴致ならされて居るのであります。彼は只管お杉さんに詫びるの外はありませんでした。さうして彼は夜の中にお杉さんを其門に送りました。
彼の正直な狹い一徹の心は昏んでしまひました。彼は夜の明けるのが待遠でたまりません。飛んだ申譯のないことをして呉れたなアといふのが思案に餘る爺さんの口から庄次へ浴びせた強く鋭い小言でありました。
庄次にはそれが何の事であるのかサツパリ解りませんでした。庄次は常にない爺さんの顏色を見てこれは容易なことではないと合點しました。がしかし彼は何にも言はず默つて居ました。さうして自分の務に赴きました。
爺さんは轉げ込むやうに地主の戸口を跨ぎました。私もこんな年齡としに成りながら、遂そんな心配もあるまいと、迂濶に油斷をした許に取り返しのつかないあなたの娘さんへ傷をつけまして、懲こらせと申されゝば野郎は手でも足でも打ち折りますが、どうか此から娘さんの方もお氣をつけなすつてと彼は呼吸も喘々せか/\として冷たい汗を流しました。此だけいふのに幾度堅唾を嚥んだか知れません。彼は庄次がお杉さんを誘惑したとばかり思ひ込んで畢つたのでした。お杉さんは昨夜も庄次が居ると思つて瓜畑へ忍んだのだと一も二もなくさう極めて畢つたのであります。
爺さんは只一筋にさうおもひ詰めたのだから、その心には庄次の口から一度どんな姿にも事實を吐かせようとする餘裕さへ起らなかつたのであります。彼は只地主から非常な譴責しかりを受けたいのでありました。怪しからぬ事だ、不都合千萬な伜だ、貴樣の仕つけがよろしくないからかういふ事を仕出かしたのだと散々に叱られてさうして自分自身の噪ぐ心を落付けさせたいのでありました。これが爺さんの心の願ひでした。
爺さんの詫言を聞いた地主は有繋にそんなことがあつたかと一度は駭いたのでありましたが、どうか世間に襤褸を出したくないといふ考が第一に其心に湧きました。そこで地主はそつとお杉を呼んで聞いて見ましたが、お杉は俯向いた儘萎れて何にもいひませんでした。爺さんからきつぱりとした噺を聞された地主の心にはもう直ぐに「判斷」がつきました。さうしていつそのこと、そんな事に成つたならお杉は庄次へ嫁に遣らうといふことに極めたのであります。
庄次は見處の有る人間であるといふのが地主の心を動かしたのであります。併しながら今の儘では行つた娘も可哀想だから、どうにか食つて通れる丈の田畑も其身に附けてやらうといふのであります。尤も其の事は其日の内に極つたのではありませんが、段々と家内相談があつて自然とさう成りました。
さてさうなると、まづ第一に爺の意志を確めねばならぬから、招よんでその趣を腹藏なく打あけて相談に及びました。けれども爺さんには今地主から言はれたことがどうしても眞實まこととして請取ることが出來ませんでした。律義な爺さんにはどうしても身分が違ふからといふ恐怖が先ち[#「先ち」はママ]ました。併しながら、地主の言ふ事がすつかりと解つた時に爺さんは地主の前に熱い涙を溢して泣きました。
さうして家へ歸るまでは何だか足がふら/\して心はまるで雲の中にでも住んでゐる樣でした。歸つて庄次にこの話をして飛んでもない、此を忘れるやうでは人間ではないからと叱るやうにいつて聞かせて軈てそこでも嬉しいといつて泣きました。
庄次は突然な出來事を聞かされて無垢な青年に通有ありがちな一種の慄ひを禁じ得ませんでした。庄次はこれ迄お杉さんと何の關係も無かつた許でなく、彼の心には平常少しの疚しい心をも抱いて居るのではありませんでした。兩人の仲は芽出度取結ばれました。お杉さんは田舍で生れて田舍で成長した女であります。貧しい家の嫁として勞働するのに心から何の不足も訴へません。
事件は恁うして互に僞なき心から無雜作に決定して、あとは再び沼の水のやうな平靜の状態が長く續[#「續」は底本では「績」]きました。夫婦の間には子が幾人か生れました。爺さんの死後二人は依然として瓜を作ることを止めませんでした。瓜畑には毎年沼の水に浮んだやうな地味な小さな花が開きました。荷車を曳いて行く庄次は強健な皮膚はだが暑い日に光りました。それから荷車の後を押して行くお杉さんも白かつた頬が日に燒けて脊には何時でも小さな子が首をくつたりと俛うなだれて眠つて居ました。只夫婦が市場へ曳いて行く籠の中には青瓜が油ぎつたつやゝかさを保つて白瓜が依然として美しい白さを保ちながら微笑ほゝゑんで居ました。
(明治四十五年一月十五日發行、女學世界定期増刊 第拾貮卷第貮號所載)