【日语共读】《心》夏目漱石(106)

   

    



       《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路



私の心はこの多量の紙と印気(インキ)が、私に何事を語るのだろうかと思って驚いた。私は同時に病室の事が気にかかった。私がこのかきものを読み始めて、読み終らない前に、父はきっとどうかなる、少なくとも、私は兄からか母からか、それでなければ伯父(おじ)からか、呼ばれるに極(きま)っているという予覚(よかく)があった。私は落ち付いて先生の書いたものを読む気になれなかった。私はそわそわしながらただ最初の一頁(ページ)を読んだ。その頁は下(しも)のように綴(つづ)られていた。

我暗暗吃了一惊。心想,先生用了这么多的纸和墨水,要跟我说什么呢?同时,我还得留神着病房的动静。我已预感到我开始读这封信时,在没看完之前,父亲一定要出什么事,至少我也得给哥哥或者母亲、不然就是叔父叫去的。我没心思踏踏实实地看先生的信,只是心不在焉地看了开头的一页,把它录在下面:

 

「あなたから過去を問いただされた時、答える事のできなかった勇気のない私は、今あなたの前に、それを明白に物語る自由を得たと信じます。しかしその自由はあなたの上京を待っているうちにはまた失われてしまう世間的の自由に過ぎないのであります。したがって、それを利用できる時に利用しなければ、私の過去をあなたの頭に間接の経験として教えて上げる機会を永久に逸(いっ)するようになります。そうすると、あの時あれほど堅く(かたく)約束した言葉がまるで嘘(うそ)になります。私はやむを得ず、口でいうべきところを、筆で申し上げる事にしました」

“当你问到我的过去时,我没有勇气回答你。现在,在你面前,我相信已经有了说清它的自由了。但是,这自由不过是在等你进京的时候,又将失去的人间的社会自由。因此,倘若在能够利用时而不去利用的话,就将永远失去把我的过去,当作间接经验告诉你的机会了。这样一来,那时我那么坚决地许下的诺言,就完全成了谎言。我无奈,只得把应该口述的,用笔来告诉你。”

 私はそこまで読んで、始めてこの長いものが何のために書かれたのか、その理由を明らかに知る事ができた。私の衣食の口、そんなものについて先生が手紙を寄こす気遣(きづか)いはないと、私は初手(しょて)から信じていた。しかし筆を執(と)ることの嫌いな先生が、どうしてあの事件をこう長く書いて、私に見せる気になったのだろう。先生はなぜ私の上京するまで待っていられないだろう。

读到这里,我方才明白他为什么给我写了这么长的信。我从一开始就认定,先生是不会为我的吃穿问题操心的。然而,一向讨厌动笔的先生,为什么把这件事写得那样长要我看呢?为什么不能等我进京呢?

 

「自由が来たから話す。しかしその自由はまた永久に失われなければならない」

 私は心のうちでこう繰り返しながら、その意味を知るに苦しんだ。私は突然不安に襲われた。私はつづいて後(あと)を読もうとした。その時病室の方から、私を呼ぶ大きな兄の声が聞こえた。私はまた驚いて立ち上った。廊下を馳(か)け抜けるようにしてみんなのいる方へ行った。私はいよいよ父の上に最後の瞬間が来たのだと覚悟した。

   “自由来了便可以说。但是那自由必将永远失去。”

    我心中这样反复思索着,却困惑不解其意。突然我觉得一阵不安,正要往下看,这时从病房那边传来哥哥高声喊我的声音。我又惊恐地站起身,象跑步似的穿过走廊,向大家都在的病室走去。我觉得父亲终于到了他的最后一瞬间了。




主播介绍

本期主播:YC

本期编辑:LMN     

责任编辑:日语之声

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