日本では、人気の美術展に行くと一番混んでいるのが、入り口の作家の略歴とか解説ボードの前です。入場者はまずここで作家の立派な略歴や作品のすばらしいという能書きのシャワーをあびて、その通りありがたく鑑賞するのです。そんな人が次に立ち止まるのは教科書に出ている名画とかパンフレットに掲載された作品の前で、見終わった後には話題の「○○展」を見てきましたという事実が残るだけです。これでは本当の鑑賞ではなく、単に決められた通りの観光コースを見学してきただけの旅行者と同じです。
評価の定まった作家、人気の作品というには当然専門家が選んだものであり、その意味で価値のあるものには違いないのですが、それでは単なる追体験に過ぎません。自ら主体的に鑑賞したいならば、まず入り口の略歴とか作品の解説を見る前に作品そのものを観てまわり、自分が好きな作品があったら解説を読み、最後に略歴などをみて理解を深めるという見方をしてみてはどうでしょうか。
問い:この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
1 美術展にある、作家の紹介や解説を役に立つもので、旅行の観光コースでただ見ていただけの絵が、より深く理解できる。
2 美術展を主体的に見るために、まず作品を観てから、好きな作品の解説を読み、略歴を読むことをすすめる。
3 美術展では、自分の感受性で気に入った作品を観るべきであり、作家の紹介や解説などは見る必要はない。
4 美術展では、入り口の解説の前は混んでいるため、先に作品を観て、次に解説を読み、略歴で理解を深めほうが効率的である。