《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
私はただKの健康について云々(うんぬん)しました。一人で置くとますます人間が偏屈(へんくつ)になるばかりだからといいました。それに付け足して、Kが養家(ようか)と折合(おりあい)の悪かった事や、実家と離れてしまった事や、色々話して聞かせました。私は溺(おぼ)れかかった人を抱いて、自分の熱を向うに移してやる覚悟で、Kを引き取るのだと告げました。そのつもりであたたかい面倒を見てやってくれと、奥さんにもお嬢さんにも頼みました。私はここまで来て漸々(ようよう)奥さんを説き伏せたのです。しかし私から何にも聞かないKは、この顛末(てんまつ)をまるで知らずにいました。私もかえってそれを満足に思って、のっそり引き移って来たKを、知らん顔で迎えました。
我只谈了些K的身体情况,说他要是再孤独下去,性情会越发乖僻,顺便也把他同养父家闹翻,同本家脱离关系的许多情况都讲了。我告诉她们,我抱着一个快要淹死的人,决心把自己的热量输送给他,庇护他,因此也请夫人和小姐给他温暖的帮助。我就这样渐渐说服了夫人。但是我并没有告诉K,他一点不知道这前后经过。我倒觉得很满意,K慢吞吞地搬来了,我若无其事地迎接了他。
奥さんとお嬢さんは、親切に彼の荷物を片付ける世話や何(なに)かをしてくれました。すべてそれを私に対する好意から来たのだと解釈した私は、心のうちで喜びました。――Kが相変らずむっちりした様子をしているにもかかわらず。
夫人和小姐亲切地帮助他收拾行李,做着什么。我心里暗暗高兴,觉得这一切都是出于对我的好意——尽管K仍是一副阴沉的表情。
私がKに向って新しい住居(すまい)の心持はどうだと聞いた時に、彼はただ一言(いちげん)悪くないといっただけでした。私からいわせれば悪くないどころではないのです。彼の今までいた所は北向きの湿っぽい臭(にお)いのする汚い室(へや)でした。食物(くいもの)も室相応(そうおう)に粗末でした。私の家へ引き移った彼は、幽谷(ゆうこく)から喬木(きょうぼく)に移った趣があったくらいです。それをさほどに思う気色(けしき)を見せないのは、一つは彼の強情から来ているのですが、一つは彼の主張からも出ているのです。仏教の教義で養われた彼は、衣食住についてとかくの贅沢(ぜいたく)をいうのをあたかも不道徳のように考えていました。なまじい昔の高僧だとか聖徒(セーント)だとかの伝(でん)を読んだ彼には、ややともすると精神と肉体とを切り離したがる癖がありました。肉を鞭撻(べんたつ)すれば霊の光輝が増すように感ずる場合さえあったのかも知れません。
我问K搬到新居后的心情如何时,他只说了句不坏。在我看来,便不是不坏了。以前他住的是阴湿、肮脏的北屋,饭食也同房子一样糟糕。他搬到我这里来,真可谓一步登天。他之所以没有露出这样的神色,一是由于他性格倔强,再是由于他一贯的主张。他这在佛教敦义熏陶中成长起来的人,似乎总觉得衣食住行上的奢华,恰恰是不道德的。他勉勉强强地读过一些从前的高僧、圣哲之类的传记,养成一种动辄便要分离精神和肉体的习性。或许他甚至认为,鞭挞肉体就能增添灵魂的光辉哪!
私はなるべく彼に逆(さか)らわない方針を取りました。私は氷を日向(ひなた)へ出して溶(と)かす工夫をしたのです。今に融(と)けて温かい水になれば、自分で自分に気が付く時機が来るに違いないと思ったのです。
我尽量采取顺从他的办法,我是在研究着把冰拿到向阳处融化。我想如果不久能融成温暖的水,那一定是他自我觉醒的时机到来了。
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