皆さん、こんばんは、ヒマワリです。
今天我们接着上回的内容,继续共读小说《鼻子》
では、始めましょう。
芥川龍之介
‐‐前にはあのようにつけつけと哂わなんだて。
内供は、誦ずしかけた経文をやめて、禿はげ頭を傾けながら、時々こう呟つぶやく事があった。愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍にかけた普賢ふげんの画像を眺めながら、鼻の長かった四五日前の事を憶おもい出して、「今はむげにいやしくなりさがれる人の、さかえたる昔をしのぶがごとく」ふさぎこんでしまうのである。――内供には、遺憾ながらこの問といに答を与える明が欠かけていた。
内供诵经的时候,经常停下来,歪着秃脑袋喃喃地说:“以前怎么还没笑得这么露骨呢?” 这当儿,和蔼可亲的内供准定茫然若失地瞅着挂在旁边的普贤像,忆起四五天前鼻子还长的时候来,心情郁闷,颇有“叹今朝落魄,忆往昔荣华”之感。可惜内供不够明智,回答不了这个问题。
――人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥おとしいれて見たいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。――内供が、理由を知らないながらも、何となく不快に思ったのは、池の尾の僧俗の態度に、この傍観者の利己主義をそれとなく感づいたからにほかならない。
——人们的心里有两种互相矛盾的感情。当然,没有人对旁人的不幸不寄予同情的。但是当那个人设法摆脱了不幸之后,这方面却又不知怎地觉得若有所失了。说得夸大一些,甚至想让那个人再度陷入以往的不幸。于是,虽说态度是消极的,却在不知不觉之间对那个人怀起敌意来了。——内供尽管不晓得个中奥妙,然而感到不快,这无非是因为他从池尾的僧俗的态度中觉察到了旁观者的利己主义。
そこで内供は日毎に機嫌が悪くなった。二言目には、誰でも意地悪く叱しかりつける。しまいには鼻の療治りょうじをしたあの弟子の僧でさえ、「内供は法慳貪ほうけんどんの罪を受けられるぞ」と陰口をきくほどになった。殊ことに内供を怒らせたのは、例の悪戯いたずらな中童子である。ある日、けたたましく犬の吠ほえる声がするので、内供が何気なく外へ出て見ると、中童子は、二尺ばかりの木の片きれをふりまわして、毛の長い、痩やせた尨犬むくいぬを逐おいまわしている。それもただ、逐おいまわしているのではない。「鼻を打たれまい。それ、鼻を打たれまい」と囃はやしながら、逐いまわしているのである。内供は、中童子の手からその木の片きれをひったくって、したたかその顔を打った。木の片は以前の鼻持上はなもたげの木だったのである。
内供的脾气日益坏起来了。不管对什么人,没说上两句话就恶狠狠地责骂。最后,连替他治鼻子的那个徒弟,也背地里说:“内供会由于犯了暴戾罪而受惩罚的。”那个淘气的中童子尤其让他生气。有一天,内供听见狗在狂吠不止,就漫不经心地踱出屋门一望,中童子正抡起一根两尺来长的木条,在追赶一只瘦骨嶙嶙的长毛狮子狗。光是追着玩倒也罢了,他还边追边嚷着:“别打着鼻子,喂,可别打着鼻子!”内供从中童子手里一把夺过那根木条,痛打他的脸。原来那就是早先用来托鼻子的木条。
内供はなまじいに、鼻の短くなったのが、かえって恨うらめしくなった。
鼻子短了反倒叫内供后悔不迭。
今天的共读到此结束,感谢大家的收听。
では、おやすみなさい。
本期监制: 日语之声
本期小编: 沫 言
本期主播: ヒマワリ
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