《心》讲述的是“先生”结识并爱上了房东家的小姐,同时也赢得了房东太太的好感,但却因年少时曾受到叔父的欺诈而对他人时存戒心,迟迟不能表白自己的心意。后来,“先生”的好友K住进了房东家里,也爱上了小姐,直率的K向好友“先生"表白了自己的心事,“先生”在表面上批评K“不求上进”,背地里却偷偷地向房东太太提出要和小姐结婚。知道了这一切真相之后的K在绝望中自杀了,同时K的死也留给“先生”一生的不安和自责,婚后的“先生”一直无法忘却K,他的内心无比的寂寞,终于也走上了自杀的道路。
それから二、三日経(た)った後(のち)の事でしたろう、奥さんとお嬢さんは朝から市ヶ谷にいる親類の所へ行くといって宅(うち)を出ました。Kも私もまだ学校の始まらない頃(ころ)でしたから、留守居同様あとに残っていました。私は書物を読むのも散歩に出るのも厭(いや)だったので、ただ漠然と火鉢の縁(ふち)に肱(ひじ)を載せて凝(じっ)と顋(あご)を支えたなり考えていました。隣(となり)の室(へや)にいるKも一向(いっこう)音を立てませんでした。双方ともいるのだかいないのだか分らないくらい静かでした。もっともこういう事は、二人の間柄として別に珍しくも何ともなかったのですから、私は別段それを気にも留めませんでした。
大约是以后过了两三天,夫人和小姐一早就出门了,说是到住在市谷的亲戚家去。那时K和我还没有开学,便留下来看家。我既不愿意看书,也不想出去散步,只是漠然地将双肘抵在火盆边上托着腮,呆呆地遐想。邻室的K也一声不响。屋子里静得双方都不知是否有人。这种情况在我们之间已是不足为奇的了,因此我也没有特别在意。
十時頃になって、Kは不意に仕切りの襖(ふすま)を開けて私と顔を見合(みあわ)せました。彼は敷居の上に立ったまま、私に何を考えていると聞きました。私はもとより何も考えていなかったのです。もし考えていたとすれば、いつもの通りお嬢さんが問題だったかも知れません。そのお嬢さんには無論奥さんも食っ付いていますが、近頃ではK自身が切り離すべからざる人のように、私の頭の中をぐるぐる回(めぐ)って、この問題を複雑にしているのです。Kと顔を見合せた私は、今まで朧気(おぼろげ)に彼を一種の邪魔ものの如く意識していながら、明らかにそうと答える訳にいかなかったのです。私は依然として彼の顔を見て黙っていました。するとKの方からつかつかと私の座敷へ入って来て、私のあたっている火鉢の前に坐(すわ)りました。私はすぐ両肱(りょうひじ)を火鉢の縁から取り除(の)けて、心持それをKの方へ押しやるようにしました。
十点左右,K忽然打开隔壁的隔扇,同我对视着。他站在门槛上问我在想什么。我本来什么也没想,如果说想了,也许便是同往常一样,在想小姐吧。想小姐那是当然的,也会想到夫人,可是近来K好象一个无法摆脱的人一样,总在我的脑际萦回,使这个问题变得复杂了。我同他对视着,虽然以前一直朦胧地觉得他似乎是个障碍,但又分明不能这样回答。我依然默默地望着他的脸。这时,他索性走进来坐在我的火盆前。我赶忙从火盆上放下双肘,把火盆向K那边稍微推了推。
Kはいつもに似合わない話を始めました。奥さんとお嬢さんは市ヶ谷のどこへ行ったのだろうというのです。私は大方叔母(おば)さんの所だろうと答えました。Kはその叔母さんは何だとまた聞きます。私はやはり軍人の細君(さいくん)だと教えてやりました。すると女の年始は大抵十五日過(すぎ)だのに、なぜそんなに早く出掛けたのだろうと質問するのです。私はなぜだか知らないと挨拶するより外(ほか)に仕方がありませんでした。
接着他的话跟以往不同了。他问夫人和小姐到市谷的什么人家去了。我说大概是婶母家。他又问婶母是什么人。我依然告诉他说:是位军人的家眷。于是他又问女人拜年大多是在正月十五之后,怎么这么早就去了?我只能回答道,我也不知为什么。
本期主播:行天
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