《日语综合教程》第七册
第二課 辛夷の花
翻译:王志镐
堀辰雄 (1904——1953)
作者介绍:日本小说家,东京大学国文学科毕业。与芥川龙之介交往之后,对文学有了领悟,作为心理主义作风的作家活跃文坛。作品有《圣家族》、《美丽村庄》、《蜻蛉日记》、《旷野》、《菜穗子》等。
注释:
辛夷花:木莲科落叶乔木,山野自生,亦作观赏植物,高十米左右。早春先于叶开出芳香白色六瓣大花。与白玉兰有相似之处。
马醉木:杜鹃科常绿乔木,高三米左右,山野自生,也有作庭院树栽种。春天开出白色吊钟状小花,全株有毒。
木曾路:中山道的一部分,通往木曾谷的大道,是对从贽川至马笼一带的称谓。
“我想去春光明媚的奈良赏花,看一看盛开的马醉木,途中绕道木曾路时,却意外地遇到了暴风雪……”
在木曾路小旅店买的彩色明信片上,我一边写着这样的话,一边从火车车窗向连绵起伏的木曾山谷望去,猛烈的暴风雪正在降下来。
虽然已过春分时节,却还要下这么大暴风雪,真是冷得够呛。况且,车厢里冷冷清清,除我之外,一起在木曾站上车的,还有一对商人夫妇,像是去哪里的温泉疗养,以及一个穿着厚厚的冬季外套的男子。——不过,列车过了上松一带,大雪的势头骤然减弱了,偶尔一缕微弱的阳光也会射进车厢。我想反正这点寒冷也算不了什么,就将就一下吧。可是车里的人似乎都想追随这点阳光,移到了对面一侧的座位上。妻子终于也熬不住了,拿着正在阅读的书,坐到对面一侧去了。唯独我一人,一边不断地将目光投向木曾峡谷与河流,看着那里不时扬起的一阵一阵的飞雪,一边固执地坚持坐在这一侧的车窗边。
似乎从一开始起,这次旅行的天气情况就很怪异。如果说不好,也只不过如此,如果认为是好的话,真可谓万事如意了。首先,从昨天离开东京起,狂风暴雪就相当猛烈,不过我一直在想,如果从一早就下这么大的雪的话,傍晚抵达木曾就会放晴的。果然,中午前突然转成了小雨,当我在烟云迷雾中见到那被白雪皑皑的甲斐山脉时,心中感到一种无法言喻的神清气爽。当列车临近信浓境时,恰好雨完全停了,富士见一带干枯的荒原,或许是雨后的缘故,显得生气勃勃,带着复苏的春色在车窗外掠过。不一会儿,木曾山白皑皑的群峰历历在目……
当晚,我们住在木曾福岛小旅店,天亮时睁眼一看,没想到又刮起了暴风雪。
“想不到竟下起大雪来……” 旅店的女招待一边搬来了炭火,一边觉得遗憾似的说道:“这个候下雪,已经习以为常了,真是没办法。”
可是,下大雪我一点儿也不觉得苦恼。因为就在今天早上,我们也是顶着这样大的风雪,离开了住宿的小旅店……
此刻,我们乘坐的火车正飞驰在木曾山的峡谷中。这峡谷对面是春意盎然、辽阔明亮的一片蓝天呢,还是阴沉郁闷的将要下雨的天气?我不时为此担心着,一边将脸贴在车窗上,一边仰望山谷上方,可是在那被山峦遮断的狭窄天空,只有不知从哪里飞来的无数雪花在狂舞,除此之外就什么也看不见了。在这雪花狂舞之中,也有刚才时不时突然射进车厢的微弱阳光。看来仅有这点阳光是根本靠不住的,看情况也许在走出这雪国之后,会有明媚春光的天空在那里等待着我们呢……
我的邻座是一对中年夫妇,看来好像是本地人,男的似乎是做批发商的老板,正小声地说着什么,颈上围着白手巾,看似病泱泱的妻子也小声地附和着。看样子不像是顾虑我们听见才那样细声细语地说话。我对此并不介意,不过使我担心的是在对面座位最后面的那个穿冬季外套的男子、他躺在那里辗转反侧,偶尔心血来潮站了起来,像是发神经似的在地板上跺一会儿脚。他一开始跺脚,背着脸坐在他的邻座、用自己的外套裹着脚读书的妻子就朝我回过头来,皱起眉头望着我。
就这样,又过了三四个小站,我仍旧独自一人坐着,不肯离开沿着木曾川前进的车窗一侧。可此时漫天大雪渐渐小了起来,只是若有若无,稀稀落落地飘散着,让我感到依依不舍,便一个劲地眺望着。就要与木曾路告别了。变化无常的雪啊!等到旅客离去之后,请你再向木曾的山峦抛洒一点!只要再多一点工夫就行,以便让旅客从平原的一角回过头来,就能仔细欣赏你那漫天飞雪的风采!
正当我沉湎于那样的意境中时,无意之中,邻座夫妇低声的谈话声传入了我的耳中:
“刚才我看见对面山上开着白色的花呢!是什么花呀?”
“那是辛夷花!”
听到这话,我急忙回过头来,像是要将身体探出去似的,在对面的山顶上寻找白色的像是辛夷花的东西。我想即使与那对夫妇看见的不是同一株花,能不能在那边山上看见其他正在开花的辛夷树呢?可是,由于我一直凭窗独坐,突然又那样心神不安地东张西望,邻座夫妇似乎要对我欲言而止,并开始对着我看。让我发窘,脸也红了,便站起来,一边朝着正好与我斜对面坐着的、仍然持续用心读书的妻子走去,一边说道:“要不容易出来旅行一趟,谁像你,光知道埋头看书!偶尔也要瞅一眼山上的景色嘛……”我一边这么说着,一边坐到了妻子的对面,并目不转睛地注视着这一边的窗户外面。
“可我,要不是出来旅行,哪能从容不迫地看书呢?”妻子的脸上露出不满,朝我看了一眼。
“噢,是吗?”说真的,我并非是为她看书才抱怨的。不过,只要妻子把注意力转向窗外,哪怕一点儿也好,与我一起寻找那边山顶上一两株簇拥着雪白花朵的辛夷树,品味一下旅行的情趣。
因此,我对妻子这样的回答完全不加理会,低声地说:
“对面山上开着辛夷花呢!那正是我想看的花呢!”
“哎呀,难道你没看到吗?”妻子看了看我的脸,似乎并没有我想象的那样高兴。
“那样开了花的有好几株呢……”
“别瞎说!”这回我的脸有点挂不住了。
“我呀,再怎么读书,现在外面是什么景色,开什么花,完全知道得一清二楚……”
“什么,你是偶尔看到的吧。我可是一直盯着木曾川看呢,在河的那边……”
“瞧,那里有一棵!”妻子突然打断了我,指着山上。
“在哪里、” 我朝着她指的方向看去,只觉得那里有什么白色东西一闪而过。
“你刚才看见的是辛夷花吗?”我心不在焉地回答。
“真是拿你没办法。”妻子显得十分得意的样子。“好了,让我再给你找一株!”
可是,开着辛夷花的树,好像再也没有见到。我们就这样一起将脸贴在车窗上,眺望着远处,在我们的眼前,仍然以枯萎凋零、春意淡淡的山峦为背景,还可以看见不知来自何处、总而言之与雪联系在一起的东西正在纷纷扬扬地飞舞着。
我死心了,闭目养神了一会儿。终于未能亲眼见到它们,可是开在雪国春天最前线的辛夷花醒目地屹立在山峰上的样子,仍然浮现在我的心里。从那雪白的花瓣上,刚才融化的雪,一定正像花的露珠似的滴答滴答落下来呢……
春の奈良なら[1]へ行いって、馬酔木あしび[2]の花盛はなざかり[3]を見みようと思おもって、途中とちゅう、木曽きそ路ろ[4]を回まわってきたら、思おもいがけず吹雪ふぶきに遭あいました。……」僕ぼくは木曽きその宿屋やどや[5]でもらった絵えはがきにそんなことを書かきながら、汽車きしゃの窓まどから猛烈もうれつ[6]に雪ゆきの降ふっている木曽きその谷たに谷だにへ絶たえず目めをやっていた。
春の半なかばと言いうのに、これはまたひどい荒あれよう[7]だ。その寒さむいったらない。おまけに[8]、車内しゃないには僕ぼくたちのほかには、いっしょに木曾きそから乗のり込こんだ、どこか湯治とうじ[9]にでも出でかけるところらしい、商人しょうにん[10]ふうの夫婦連ふうふづれと、もう1ひと人り厚あつぼったい[11]冬ふゆ外套がいとう[12]を着きた男おとこの客きゃくがいるっきり。――でも、上松あげまつ[13]を過すぎる頃ころから、急きゅうに雪ゆきの勢いきおいが衰おとろえ出だし、どうかすると[14]ぱあっと[15]薄日うすび[16]のようなものが車内しゃないにも差さし込こんでくるようになった。どうせ、こんなばかばかしい[17]寒さむさはここいら[18]だけと我慢がまんしていたが、みんな、その日差ひざしを慕したう[19]ように、向むこう側がわの座席ざせきに変かわった。妻つまもとうとう[20]読よみさし[21]の本ほんだけ持もってそちら側がわに移うつっていった。僕ぼくだけ、まだ時々ときどき思おもい出だしたように雪ゆきが紛々ふんぷん[22]と散ちっている木曽きその谷たにや川かわへ絶たえず目めをやりながら、こちらの窓側まどがわに強情ごうじょう[23]に頑張がんばっていた。……
どうも、今度こんどの旅たびは最初さいしょから天候てんこう[1]の具合ぐあいが奇妙きみょうだ。悪わるいと言いってしまえばそれまでだが、いいと思おもえば本当ほんとうに具合ぐあいよくいっている。第だい一いち、昨日きのう東京とうきょうをたってきたときからして、かなり強つよい吹ふき降ぶり[2]だった。だが、朝あさのうちにこれほど強つよく降ふってしまえば、夕方ゆうがた木曽きそにつくまでにはと思おもっていると、昼ひる少すこし前まえから急きゅうに小降こぶり[3]になって、まだ雪ゆきのある甲斐かい[4]の山々やまやま[5]がそんな雨あめの中なかから見みえだしたときは、何なんとも言いえず清々すがすがしかった[6]。そうして信濃境しなのさかい[7]にさしかかる[8]ことには、おあつらえ向むき[9]に雨あめもすっかり上あがり、富士見ふじみ[10]あたりのいったいの枯かれ原はらも、雨後うご[11]のせいか、何なにか生いき生いき[12]とよみがえった[13]ような色いろさえ帯おびて車窓しゃそう[14]を過すぎた。そのうちに今度こんどは、かなたに、木曽きその真まっ白しろな山々やまやま[15]がくっきり[16]と見みえ出だしてきた。
今いま、僕ぼくたちの乗のった汽車きしゃの走はしっている、この木曾きその谷たにの向むこうには、すっかり春はるめいた[18]、明あかるい空そらが広ひろがっているか、それとも、うっとうしい[19]ような雨空あまぞら[20]か、僕ぼくは時々ときどきそれが気きになりでもするように、窓まどに顔かおをくっつける[21]ようにしながら、谷たにの上方かみがた[22]を見上みあげてみたが、山々やまやまに遮さえぎられた狭せまい空中くうちゅう[23]、どこからともなく飛とんできては盛さかんに舞まい狂くるって[24]いるむす[25]の雪ゆきほかには何なににも見みえない。そんな雪ゆきの狂きょう舞まいの中なかを、さっきから時折ときおり[26]出だし抜ぬけにぱあっと薄日うすびが差さしてき出だしているのである。それだけでは、いかにも頼たよりなげ[27]な日差ひざしに具合ぐあいだが、ことによるとこの雪国ゆきぐに[28]の外そとに出でたら、うららか[29]な春はるの空そらがそこに待まちかまえて[30]いそうなあんばい[31]にも見みえる。
に泊とまって、明あけ方がた目めを覚おぼえまして見みると、思おもいがけない吹雪ふぶきだった。 「どんだものが降ふり出だしました……」宿やどの女中じょちゅう[17]が火ひを運はこんできながら、気きの毒どくそうに言いうのだった。「このごろ、どうも癖くせになってしまって困こまります。」 だが、雪ゆきはいっこう苦くにならない。で、今朝けさも今朝けさで、そんな雪ゆきの中なかを衝ついて、僕ぼくたちは宿やどをたってきたのである。
しゃの走はしっている、この木曾きその谷たにの向むこうには、すっかり春はるめいた[18]、明あかるい空そらが広ひろがっているか、それとも、うっとうしい[19]ような雨空あまぞら[20]か、僕ぼくは時々ときどきそれが気きになりでもするように、窓まどに顔かおをくっつける[21]ようにしながら、谷たにの上方かみがた[22]を見上みあげてみたが、山々やまやまに遮さえぎられた狭せまい空中くうちゅう[23]、どこからともなく飛とんできては盛さかんに舞まい狂くるって[24]いるむす[25]の雪ゆきほかには何なににも見みえない。そんな雪ゆきの狂きょう舞まいの中なかを、さっきから時折ときおり[26]出だし抜ぬけにぱあっと薄日うすびが差さしてき出だしているのである。それだけでは、いかにも頼たよりなげ[27]な日差ひざしに具合ぐあいだが、ことによるとこの雪国ゆきぐに[28]の外そとに出でたら、うららか[29]な春はるの空そらがそこに待まちかまえて[30]いそうなあんばい[31]にも見みえる。
僕ぼくはそれを聞きくと、急いそいで振ふり帰かえって、身体からだを乗のり出だすようにしながら、そちら側がわの山やまの端はにその辛夷こぶしの白しろい花はならしい者ものを見みつけようとした。今いまその夫婦ふうふたちの見みた、それと同おなじ者ものでなくとも、そこいらの山やまにはほかにも辛夷こぶしの花はな咲さいた木きが見みられはすまいかと思おもったのである。だが、それまで一人ひとりでぼんやりと自分じぶんの窓まどにもたれていた僕ぼくが急きゅうにそんな風ふうにきょときょと[24]とそこいらを見回みまわしだしたので、隣となりの夫婦ふうふのほうでも何時いつかといったような顔かおつきで僕ぼくのほうを見み始はじめた。僕ぼくはどうも照てれくさく[25]なって、それを潮しお[26]に、ちょうど僕ぼくとは筋向すじむかい[27]になった座席ざせきで相変あいかわらず熱心ねっしんに本ほんを読よみ続つづけている妻つまのほうへ立たってゆきながら、「せっかく旅たびに出でてきたのに本ほんばかり読よんでいるやつもないもんだ。たまには山やまの景色けしきでも見みろよ。」そういいながら、向むかい合あい[28]に腰掛こしかけて[29]、そちら側がわの窓まどのそとへじっと目めを注そそぎ出だした。
「だって、わたしなぞは、旅先たびさきででもなければ本ほんもゆっくり読よめないんです者もの。」妻つまはいかにも不満ふまんそうな顔かおをして僕ぼくのほうを見みた。 「ふん、そうかな。」本当ほんとうを言いうと、僕ぼくはそんなことには何なにも苦情くじょうを言いうつもりはなかった。ただほんのちょっとだけでもいい、そういう妻つまの注意ちゅういを窓まどの外そとに向むけさせて、自分じぶんと一緒いっしょになって、そこいらの山やまの端はに真まっ白しろな花はなを群むらがらせて[1]いる辛夷こぶしの木きを一いち、二に本ほん見みつけて、旅たびのあわれ[2]を味あじわってみたかったのである。 そこで、僕ぼくはそういう妻つまの返事へんじには一向いっこう[3]取とり合あわず[4]に、だが、少すこし声こえを低ひくくして言いった。
「向むこうの山やまに辛夷こぶしの花はなが咲さいているとさ。ちょっと見みたいものだね。」 「あら、あれをご覧らんにならなかったの。」妻つまはいかにもうれしくってしようがないように僕ぼくの顔かおを見みつめた。 「あんなにいくつも咲さいていたのに。」 「うそを言いえ。」今度こんどは僕ぼくがいかにも不平ふへいそうな顔かおをした。 「私わたしなんぞは、いくら本ほんを読よんでいたって、今いま、どんな景色けしきで、どんな花はなが咲さいているかぐらいはちゃんと知しっていてよ。」 「何なに、まぐれ[5]当あたりに見みえたのさ。僕ぼくはずっと木曽川きそがわのほうばかり見みていたんだもの。川かわのほうには」
いっぽん。」妻つまが急きゅうに僕ぼくを遮さえぎって山やまのほうを指さした。 「どこに?」僕ぼくはしかしそこには、そういわれてみて、やっと何なにか白しろっぽい者ものを、ちらり[1]と認みとめたような気きがしただけだった。 「今いまのが辛夷こぶしの花はなかなあ?」僕ぼくはうつけた[2]ように答こたえた。 「仕様しよう[3]のない方ほうねえ。」妻つまは何なんだがずっかり得意とくいそうだった。「いいわ。また、すぐ見みつけてあげるわ。」
きぎはなかなか見当みあたらない[4]らしかった。僕ぼくたちがそうやって窓まどの顔かおを一緒いっしょにくっつけて[5]眺ながめていると、目まなかいの、まだ枯かれ枯がれ[6]とした、はる浅あさい山やまを背景はいけいにして、まだ、どこからともなく雪ゆきのとばっちり[7]のようなものがちらちらと舞まっているのが見みえていた。僕ぼくはもう観念かんねん[8]して、しばらくじっと目めを合あわせていた。とうとうこの目めで見みられなかった、雪国ゆきぐにの春はるに真まっ先さきに咲さくというその辛夷こぶしの花はなが、今いま、どこぞの山やまの端はにくっきり[9]と立たっている姿すがたを、ただ、心こころの内うちに浮うかべてみていた。その真まっ白しろい花はなからは、今いま仕方しかたの行ゆき解とけながら、その花はなのしずく[10]のようにぽたぽた[11]と落おちているに違ちがいなかった。『堀辰雄全集第三巻』(筑摩書房1977年刊)による